2013年5月11日土曜日

「アベノミクス」と量的緩和:その「危うさ」と期待

為替 テレビ東京WBS

安倍総理のアベノミクスと日銀の量的緩和から円安、株高が進み、企業は好決算を発表しているが、「期待」感に負うところが大きい一方で、その「危うさ」も指摘される。人によってこれほど評価が違うことに驚くが、実体経済、実生活に大きく影響を受けるのだから当然だろう。

どう実感出来るか。そこが評価の大きく変わる点で、企業、家計ともに好循環に持って行けるかどうかが安倍政権の命運にかかっている。

市場も米国の経済好転の影響もあって、9日のNYダウ15082.62ドル、日経平均株価14607.54円で54ヶ月ぶりの高値、為替も1ドル101.53円で105円、110円が見えてきたと言う。

株価 テレビ東京WBSより
一方で長期プライムレートは1.25%で0.05%上昇している。日銀が描く国債購入国債価格上昇金利低下で、企業は安くカネを借り入れられ設備投資をし、個人は消費を増やすイメージと逆効果が見られる。以前、生保が外国債の購入を増やそうとしているニュースが流れていたが、日本国債から外国債への転換も起きているようだ。

今の変化は、好循環への「変わり目」(安倍総理)なのか、あるいは「好ましくない経済」への始まりなのか。

今回のデフレ派が台頭するに当たって、「低金利下での金融緩和は効果がない」、「インフレターゲットはインフレを抑制するためのもので、インフレに導くものではない」、「日銀だけでインフレ達成は無理」、「財政赤字をファイナンスすると見られれば、国債は一気に信認を失う」との見解が各方面から出ていた。

ところが、自民党安倍総裁が「大胆な金融緩和」を唱えたかと思うと、口先政策だけで市場は反応し、日銀新体制もコミットして円安、株高に動いたのを見て、安倍総裁、リフレ派は「狙い通り」と胸を張った。今までの長期デフレ経済、混沌としていた民主党政権から経済が一気に吹っ切れた感じだろう。

日本経済が活性化してきたことは良いことだが、安倍総理や黒田・日銀総裁の「それいけドンドン」では慎重さに欠ける。

企業業績改善もリストラ、円安、株高によるところが大きいし、企業業績改善→賃金上昇も未だ「期待」感だ。円安で輸出がのび、株価も18000円を超えた時があったが、所得は増えず、内需は低迷したままだった過去の経験が安倍総理にはあるはずだ。

そして、「海外の見方で市場がどう動くか」、「国債の信認?」などの心配もある。

G7財務相、中央銀行総裁会議でも「為替をターゲットにしていない」と理解を得たいと言うが、ドイツは懸念を持っているし、アメリカは国内経済への影響から疑問視している。麻生財務相は「理解されている」と言うが、一気に状況が変わるかもしれないのだ。

国債の信認を得ることは国内、国際的にも安倍政権の最優先課題だ。黒田・日銀総裁も「財政健全化」を政府に強く要求している。そして6月にまとまるとされる第3の矢の成長戦略がどういう内容になるかだ。

「緩和を続けていく中で経済がバランスの取れる形で成長していく(黒田総裁)」という理想の政策が、海外の理解も得ていつまで取れるか。

安倍政権、日銀が言う2年で2%インフレに持って行っても、国民の家計収入が増え、将来の不安が消えない限り私たちは消費を控える行動に変わらないのではないか。

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