2013年9月25日水曜日

今、必要なのは緊縮政策か、成長戦略か:どちらが将来の安心感に働くか

将来への安心感が経済を成長に導くというが、今必要なのは緊縮政策か、成長戦略か。ドイツ連邦議会選挙でメルケル首相の率いるキリスト教民主社会同盟が第一党になったが、連立を組んでいた自由民主党が退潮で連立解消になり、4年ぶりに最大野党の社会民主党と大連立政権を組むことになるらしいが社会民主党は欧州財政、金融危機対策の見直しを条件として挙げてきた。

メルケル首相は、欧州危機に対して緊縮財政、構造改革を要求していたが、社会民主党は成長戦略、失業対策を重視するために、メルケル首相はどう政策を見直すかが焦点になってきた。

緊縮財政か、成長戦略か。

EUの財政危機にあるギリシャ、スペインなどは財政赤字の削減、債務の縮小、公務員削減で失業者は増え、経済は悪化する一方で、デモなど社会不安が高まった。

そのためIMFなども緊縮政策要求一辺倒ではなく、成長戦略も考慮する動きになった。ドイツもEU内で方針見直しが期待されている。

でも、何故、財政危機に当たって緊縮財政が要求されるのか。無駄、放漫財政を非難されるのは当たり前だが、緊縮財政に頼る根拠は何なのか。

これには、ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授が数々の事例を検証した結果、「緊縮財政は経済成長をもたらす」という説にあるらしい。更に、カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフの論文である「債務残高がGDPの90%を超えると成長は大きく停滞する」に根拠を置くようだ。

しかしこの理論は、大学院生の検証で数値に間違いが見つかって批判されたが、考え方に間違いはないという結果になったらしい。

緊縮財政は、将来に安心感を与え、経済が成長するというのだ。

ケインズは、歳出削減→需要減少→生産、雇用の減少になると説き、こういうときは財政出動で総需要喚起が必要なのだという。緊縮財政はやるべきではないというのだ。

ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授も、今は財政出動の時、緊縮財政はダメだといい、アメリカは就業者数30万人増(FRBは20万人)まで量的緩和をもっと続けろという。

そして、安倍総理のアベノミクスを「経済が分かっているとは思えないが、大方は正しい政策である」と妙な評価をする。クルーグマン教授のアドバイスを聞いた数少ない政府の一つらしい。

日本は債務残高1000兆円を超え、先進国一悪い財政状況にあり(これには異論もあり資産もその半分ほどあるので、問題ないという説もある)、IMF、G20からも財政健全化が要求されている。

今議論になっている消費税増税も社会保障と税の一体改革での議論であるが、安倍総理はむしろ経済成長による好循環を喫緊の課題としている。賃上げで家計を潤し消費を上げ成長路線に持っていきたいのだ。

財政健全化(緊縮財政)と成長戦略は、相反する政策のように見えるが、将来の生活に安心感を与えれば効果はある。

アベノミクスが成功すれば、世界にデフレ脱却の見本とすることができるとはクルーグマン教授の言だ。

今必要なのは、国民に安心感を与えるために経済学者は「どういう理論」を、政治家は「どういう政策」を提示することが出来るかだ。

経済成長のカギはこの辺にもある?











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