2013年9月15日日曜日

IPCC第五次報告書:CO2人為説が優位な訳は?

地球温暖化の要因と言えば、CO2人為説vs自然変動説であるが、IPCCの第五次報告書で人間活動が引き起こす可能性が、前回の「90%以上」から「95%以上」と極めて高くなったととりまとめで評価するらしい。なぜCO2人為説が優勢なのか。どういうデータをインプットしてシミュレーションしているのか。

讀賣新聞(2013.9.14)によると、4種類のシナリオで想定し、温度上昇は1.7~4.8度、今世紀末には海面上昇も54cm~81cm、世界的に熱波が増加するらしい。CO2の削減対策をとらなければ、今世紀半ばまでに夏の北極海の海氷は消滅の危機だという。

地球の平均気温も前回の報告書(2007年)では100年で0.74℃の上昇だったが最近は0.79℃で上昇幅が広がっているという。

平均気温の上昇とともに、大気中のCO2濃度は400ppmを越えた。日本も例外ではない。

猛暑、熱帯夜、勢力の強い台風の発生、海水温の上昇、漁獲量の変動があれば地球温暖化を疑い、北極海の流氷の減少とやせ細ったシロクマの写真は地球温暖化対策の必要性を訴えるポスターにも使われる。

でも、地球温暖化の原因説、CO2人為説vs自然変動説になると少々疑問が残る。

世界の平均気温の上昇観測値と
CO2人為説、自然変動説
「生存の条件」より
よく使われる資料に、IPCC第四次評価報告書に使われている気候モデルによるシミュレーションで、20世紀半ば以降の世界平均気温の上昇(観測値)のほとんどは人為起源の温室効果ガス濃度の増加によってもたらされる可能性が非常に高いと言うことだ(「生存の条件」を読み解く為に「データ集」 旭硝子財団 2010.5)。

これによると、平均気温の観測値は、自然起源と人為起源の放射強制力を用いたシミュレーション結果の方が、自然起源の放射強制力のみを用いたシミュレーション結果よりもよく合致するというのだ(同上)。



南極のCO2濃度と気温の測定
「不都合な真実」より
どの程度CO2濃度と気温の測定値に関連性があるのかと探していたら、アル・ゴア元副大統領の「不都合な真実」にぴったりのデータが載っていた。余りにもぴったりなので疑いたくなるが、「大事なことは大気中のCO2が多ければ、気温が上がる」と言うことだと解説している。

科学的な意見は、「人間の活動が地球の気候を変えている」と言うことでしっかり一致している(不都合な真実)と言うが、今、天体物理学者などが自然変動説を唱えて反論している。

希薄なCO2など温室効果ガスが平均気温を上昇させることと、太陽活動が大きく影響していることを比較すると後者の方が納得出来るのだが。

要は、気候モデルのシミュレーションに、CO2など温室効果ガス、水蒸気、雲、太陽活動などの自然変動にどういうデータをインプットしているかだ。

それが分からなければ、結果を理解することは不可能と思うのだが、そのインプットデータの議論が国民に公開されていないのではないか。

「シミュレーション結果がこうだったから対策を」では、地球温暖化を議論するには中途半端すぎないか。

関連記事
2013.9.18掲載
地球温暖化対策:CO2人為説の結果だけで「対策を」では説得力に欠けないか


[後記]
朝日新聞2013.9.16に「温暖化とめる道探る」という記事が掲載され、スイスの研究者が発表した2100年までの気温上昇の予測図が載っている。
これも、どういうアルゴリズムでどういうデータをインプットしたのか知りたいところだ。


朝日新聞 2013.9.16











その記事の中で、注目すべき記述がある。

1990年代は、世界各国がIPCCが示す温暖化の科学を尊重していたが、最近は関心が低い。第5次報告書が、交渉を大きく前進させるだけの衝撃とパワーを持っているかだという。

国民の注目を再起するには、シミュレーションのアルゴリズム、インプットデータを詳細に公開すべきではないか。それでシミュレーション結果の真偽を判断すべきだ。

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