2013年11月6日水曜日

日本近海の海溝:海底資源の宝庫と巨大地震震源域の共存

日本近海の海溝は海底資源の宝庫と巨大地震の震源域が共存する。日本は北から北アメリカプレート、東から太平洋プレート、南からフィリッピン海プレート、西からユーラシアプレートからなり、日本海溝、伊豆/小笠原海溝、南海トラフ、南西諸島海溝は巨大地震の巣でもあるが、一方で周辺は海底資源の宝庫として注目を浴びている。

有用元素を含む熱水孔
日本に世界最大の海底資源
TBSNEWS23クロス
2010.10.18
そして、南西諸島海溝付近の沖縄トラフには海底熱水鉱床があり豊富な鉱物資源が眠っていることが分かった。

海底鉱物熱水鉱床では金、銀、銅、亜鉛、コバルトリッチクラフトからはニッケル、コバルト、白金、レアアース、マンガン団塊からはニッケル、コバルト、銅、レアアースの有用元素が期待出来るのだ。日本もマンガン団塊、コバルトリッチクラストでは公海域探査権を取得したり、申請中だ(朝日新聞2013.11.4)。

海洋研究開発機構は、沖縄近海で水深1000mに人工的穴を開け熱水を噴出させ、レアメタルを回収した(讀賣新聞2012.4.7)。

日本も海洋開発に本腰を入れようと、沖縄本島の北西150kmに広がる沖縄トラフへ海洋資源調査船「白嶺」を向かわせドリルで海底下40m掘り下げ、亜鉛、鉛、銅、金の鉱物資源を含んだ海底熱水鉱床があることが分かった(朝日新聞2013.11.5)。

しかし、こんな有望な鉱床があるのだが南海トラフ、南西諸島海溝は巨大地震の震源域になっており、生田・静岡大助教らの解析で地震を起こすエネルギーがたまっていると見られている(朝日新聞2013.10.31)。

更に、太平洋プレートは毎年10cmで潜り込んでいたが、最近は30~40cmの速度になり、内陸直下型地震の発生、火山噴火を危惧する専門家も出て来た。

メタンハイドレート海底産出に挑む
2013.5.26 夢の扉より
一方、南西諸島海溝、南海トラフ、房総半島東方沖、鹿島灘沖、千島海溝、日本海東縁では未来のエネルギーと見られているメタンハイドレートの存在が期待出来る。

3月に経産省が渥美半島沖でメタンハイドレートの産出試験を行い成功したという。資源エネルギー庁は25年度予算概算要求でメタンハイドレート開発促進事業委託費として77億円を計上している。利用可能にする目的で必要技術の整備をするのだ。

でも石井吉徳・東大名誉教授は週刊誌上で「メタンハイドレートにだまされるな」と警告を発している。教授はメタンハイドレートの基礎研究に携わった経験があるのだ。メタンハイドレートは油田やガス田から産出される在来型のエネルギー源ではなく質が悪いといい、経済性が全くないと言い切る。

しかも温度、圧力の微妙なバランスを保っているので、一度崩れると海面上に出てメタンガスとなり何らかの拍子に火が付くと火の玉となって陸に押し寄せる可能性がある。北海道南西沖地震で奥尻島が火災で焼失したこと、鹿島灘でもメタンハイドレートによると思われる現象が見られたという。

首都圏直下型などの巨大地震の発生で首都圏に火災をもたらす可能性も十分に考えられる。

地震を起こすエネルギーが
たまっている日本列島周辺の
プレート
朝日新聞2013.10.31
海溝付近は豊富な海底資源が期待出来るが、巨大地震/巨大津波の震源域でもある。如何に共存させていくか。


メタンハイドレート開発事業に77億円要求すると共に、海底地震津波観測網整備、巨大地震発生メカニズム解明のための深海ドリリング計画にも25年度概算要求している。

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