2014年1月12日日曜日

脱原発か再稼働か:細川・小泉vs安倍の構図で日本の原発はどうなる

週刊新潮 2014.1.2・9
脱原発か再稼働か、我が国の原発はどうなるのか。原発ゼロを唱える細川・小泉vs再稼働に進もうとする安倍政権の構図は都知事選の争点にもなってきそうだ。小泉さんの支援を受けて細川さんが出馬するかどうかは不透明なところはあるが、改めて脱原発が議論になりそうだ。

元総理経験者の小泉さんは考えが変わったのだと「最終処分場も決まらない原発を続けていくのは無責任ではないか」と脱原発を訴えるが、安倍政権は「経済再生には原発の再稼働が必要で原子力規制委員会の審査をパスした原発から再稼働すべきだ」という。

ところが都議選で争点になりそうなこと、自民党内にも脱原発派がいることから混乱を避けたのか、安倍政権は「エネルギー基本計画」の閣議決定を先送りした。

私も出来ることなら原発はフェードアウトすべきだと思う。既設の原発で審査をパスした原発から再稼働し耐用年数まで運転した後、廃炉にすることだ。その間に新しいエネルギー政策を考えれば良いのではないか。小泉さんも言うように「専門家が良い知恵を出す」かもしれない。事故が発生したことは別として今まで築いてきた日本の原子力技術は捨てがたい。

3.11の巨大地震、津波災害で東電・福島第一原発はメルトダウンと言うあってはならない放射能汚染事故を拡大させているが、その要因には東電の安全に対する経営責任が欠如していたことではないか。想定外の津波の予測で防潮堤のかさ上げが社内で検討されたが無視し、週刊誌報道によると2人の元所長が「外部電源の確保ができない」ことへの危機感を共有しながら対策を怠ったこと、訓練内容のお粗末さなど危険で巨大設備を運転する企業とは思えない体質に怒りを覚える。

確かに原発行政に対しては批判されるべきことが多い。

「泥田にツルが金を持ってきた」と海岸縁のひなびた村に金をばらまき、十分に研究しないままにアメリカの原子炉をそのまま建設した。今問題になっている活断層の審査も「まず建設ありき」で曖昧なまま建設が認可された。原子力行政を進めるために学者、業界、官庁、政治家に「原子力村」ができ、良きにつけ悪しきにつけ原子力発電に旗を振った。

今回の事故で御用学者と批判された大学の先生が小泉さんの「脱原発」に小学生並みの理論だと反論している(週刊新潮2014.1.2,9)。

その「御用学者と呼ばれて第8弾 原子力の専門学者座談会小泉「原発ゼロ」発言は致命的に幼い」によると次のようだ。

(1)  原発ゼロは可能だがゼロにするなりの戦略を考える必要がある。ドイツ、スイスに見習うべきだ。

(2)  死亡率を考えるとテラワット/hあたり石油は40人だが原子力は1人。

(3)  化石燃料はCO2を排出し地球温暖化の問題がある。

(4)  小泉さんは自分が総理の時は処分場の施設も何も進めなかった。今駄目では見識がない。

(5)  核のゴミの地下深層処分ができないなら原発は駄目」という主張は間違っている。

そして次のように主張する。

(1)  原発を止めたときの日本国、日本経済に与える影響をよく考える。

(2)原発を動かせば化石燃料を買う数兆円が節約できる。もし止めるにしてもカネがかかるのだからその浮いたカネを廃炉に使えば良いではないか。

(3)このままでは貿易赤字が嵩み日本経済は破綻する。

(4)日本の原子力技術を生かせ。

御用学者と言われている人たちの主張点は「原発ゼロ」ではなく、フェードアウトの考えではないのか。そうであれば当然の主張だと思う。

小泉さんの「核のゴミの地下深層処分は出来ないから原発は駄目」という主張には、廃棄物をガラス固化体にしてステンレス容器に入れ、密封して40年間冷やしてから埋設する計画で、放射線には半減期があり、40年経てば発熱量も1/1000になり、安全に埋めることが出来ると反論する。

現在もそういう計画でやっているのだろう。

更に小泉さんは「廃棄物は10万年の保管が必要なのにその場所がない」という主張には、ガラス固化体にすれば10万年間保管できるということで、10万年必要だという訳ではないらしい。3000年も経てば放射能の強度は100万分の1になり人間が手で触れるリン鉱石の10倍程度に落ちると言う。

しかし、3000年、10万年という途方もない期間での安全主張であるが、そんな期間のことまで誰が保障はするというのか。

今回、政府は「エネルギー基本計画」の閣議決定を先送りしたが、選挙対策の先送りであってはならない。


国政のテーマとして国会内外で広く議論を起こすべきではないか。御用学者と批判された専門家も知恵を出しエネルギー計画に貢献すべきである。

都政の主要政策として争点にするには無理もあるが、東京都は東電の大株主だ。我々都民も株主なのだ。原発を論じるのもテーマの一つであることに間違いはない。。

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