2014年2月14日金曜日

法人税下げの狙い?:税収増か、アベノミクスの好循環か

「法人税下げ」が話題になってきた。その狙いは税収増か、アベノミクスの好循環か。経団連会長、経営者はことある毎に、景気対策(?)として「法人税下げ」を要求し、安倍総理の肝いりの人選による政府税制調査会で「法人税下げ」を検討するらしい。今の税率35%は世界的に見ても高く、企業の国際競争力を害しているというのだ。

思うがままに人事を操作して、その目標を達成しようとする危ない総理が目標とする税率が25%だ。

減税すれば企業活動は活気づき、収益を上げれば税収増に結びつく。今まで海外生産を展開していた企業も国内に戻ってくるだろうし、海外の企業も日本での企業活動をするだろうと期待するのだ。

一方、悲観的見方をすれば税収減になる。公共事業など歳出を増やしている安倍政権にとって税収減は国債発行で国民に負担を強いることになる。

それに、麻生財務相がよく言っているが、今企業の内で7割は過去の赤字の処理で税金を払っていない。あの空前の営業利益を出しているトヨタだって税を納めなくて良かったのだ。

大企業はそういうことだから今税を納めている30%は、それより規模の小さい企業
だ。今回の法人税下げも、そのような企業は恩恵に預からないらしい。

それに、デフレ経済下でも賃金カットなどで内部留保を重ね、280兆円を越えるらしい。今回法人税下げで出て来た利益も内部留保に回されれば、税収など御覚束ない。

更に税体制をシンプルにしようという話も出ている。

日本の法人税は世界的に高いと言われているが、諸々の法人優遇税を加味すれば、法人税20%台になるという経済学者もいる。租税特別措置法など結構複雑に今でも優遇されているというのだ。

当然、経営者は反対する。

また、輸出企業はこのところの円安で収益を上げているが、それには「輸出戻し税」も貢献しているという。

払わなければならない消費税額に比べ還付される輸出戻し税の方が大きいのだ。(戻ってくる税額)―(国内販売で納める消費税)=消費税還付金になる。だから輸出比率の高い企業ほど恩恵にあずかることになる。

元静岡大教授の湖東先生が主な輸出企業10社の還付金を比較している。税率5%では還付金合計が6368億円だったが、税率8%では1兆188億円だという(週刊ポスト2014.2.21)。

単純に法人税下げを主張するのではなく、その前に大企業はどんな優遇策の恩恵にあずかっているのか。すでに法人税20%台の恩恵にあずかっているのではないか。

複雑な税体制をシンプルにする必要があるとともに、もっと国民に詳しい説明をすべきではないか。

減税は税収減に繫がる。

レーガンさんが大統領になったとき「減税」を公約し、「レーガノミクス」とメデイアは囃し立て本も出版された。しかし、結果は失敗した。

安倍総理もアベノミクスの実感を国民に示すためにも、企業に賃上げを要求する代わりに、企業から要求されている「法人税下げ」を呑もうとしているのではないか。

アベノミクスが失敗すると安倍政権は持たないだろうが、企業に優遇策を与えるばかりが政策ではない。

日本経済の再生は偏に経営者の意識改革ではないのか。

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