2014年3月9日日曜日

震災から3年、何が分かったのか

11日で東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う巨大津波被害から3年、メデイアでは3年を総括する報道が続くが一体何が出来て何が出来ていないのか、何が分かったのか。201.3年311日、緊急地震速報が流れたと思ったら私の住んでいる東京・大田区でも直ぐガタガタ揺れ始めた。通常は、2030秒ほどで収まるだろうと思っていたが2分近くの揺れだった。

ほとんどの人がこんな長い時間の揺れの地震は経験していなかったはずだ。

巨大地震、巨大津波に加えて、あってはならない東電・福島第一原発のメルトダウンによる放射能汚染の拡大だ。

平素から防災訓練を実施しているとは言え、役には立たず政府の対応の悪さに批判が集中したが、如何にせん未経験で危機管理センターを始め官僚機構は右往左往するのがやっとだったのだ。

船、建物、車等を巻き込んで引き寄せる津波、川を遡上する津波、そしてビルをもひっくり返して去って行く引き波の脅威は驚く程だった。火の付いたままの漂流物は火災を拡大していった。

そして福島第一原発の外部電源喪失による原子炉冷却不能はメルトダウンによる爆発につながり、原子炉建屋内の状況把握が完全に出来なくなった。消防車による放水、自衛隊によるヘリコプターでの放水は手に汗を握る画面だったが、そういった冷却放水は放射能汚染水となり、今廃炉への足かせになっている。

ところで、福島第一原発の外部電源喪失の要因は地震だったのか、それとも津波による浸水で機能しなくなったのか。

東電は原子炉設備は地震には耐えたが、津波で被害を被ったと言い想定外の地震、津波だったことを強調したが、原子炉工学の専門家は地震でダメージを受け、津波浸水で電気機器が機能不能になったとみている。この原発の立地が沼地だったことを考えると当たっているのではないか。

原子炉破損は冷却水も放射能汚染し貯水槽やタンクに貯めて処理する必要が出て来たが、一日に流入する地下水400トン、処理設備であるALPSの不備を考えるとタンク貯留も時間の問題で制限が出てくる。いつかは行き詰まると思うのだが誰も何も言わない。

更に、この結果に対して誰も責任を取らないのはおかしくないか。巨大地震、津波が想定外の規模だったことで免責されようとしているが東電、原子力安全保安院には予見可能性があった。

当時の吉田所長や所長経験者である東工大・二見特任教授は「福島第一原発が抱える問題は外部電源喪失」であることを認識していた(週刊現代2013.12.14「墓碑銘2013忘れない夢を」)。

また、2007年には原子力安全基盤機構(JNES)が15mの津波で炉心損傷がほぼ100%起きると指摘していた(東日本大震災SP 2014.3.9 サンデーモーニング)。折角のこの指摘も原子力の安全神話を守るため(?)に、原子力安全保安院が公表を押さえていたのだ。

東電が素直に対応し外部電源確保、防潮堤のかさ上げを実施していればこれほどまでの被害には至らなかったのではないか。予見可能性は十分にあったとみるべきだ。

復興交付金の要件も復興を遅らせて
いるか
東日本大震災SP サンデーモーニング
2014.3.9
復興事業の遅れが指摘されている。

縦割り行政は、未経験の復興事業ではどうしても復興の壁になる。無差別の対応は出来ず、基準を設ける必要はあるだろうが、それが復興の邪魔になっているのだ。

それに自治体のやろうとする方策と住民の希望する方策が衝突することがある。仮設住宅、高台移転などとともに街作りが先か、防潮堤が先かでも揉めている。

しかも、防潮堤は巨大な津波にも安心できるように自治体は10mと高い防潮堤を計画するが、住民は「海が見えなければ不安」として45mの低い防潮堤を希望し論争点になっている。環境破壊という見方もある。

防潮堤を作ったからと言って安心が確保されるとは限らない。やっぱり高台へ、高台へと逃げることが津波対策の基本ではないか。 

高台での造成、かさ上げ造成地を見て復興事業が進んでいると政治家は言うが、これが本当に住民の願う造成かどうかが問題だ。

震災後、各所で津波到達点を示す碑が建てられているのが見つかった。先人の教えを忘れた街作り、避難対策をやっていたのだ。先人の教えを守った住民は助かり、無視した住民は被害にあう結果になった。こういうことを何百年も繰り返しているのだ。

社会現象として人口減少による過疎化も進む。元々被災地区は過疎化が予測されていた地域だ。この災害、復興遅滞を機に更に進むだろう。そういった点も考慮した復興計画でなければならない。財政を無視した不必要な計画を進めて後々維持管理に支障を来すようなことがあってはならない。

原発に近い地区では帰宅困難地域がある。環境は荒れ放題で自然の生態系も狂ってきた。帰宅に向けどうしようとしているのか。

除染地域も拡大しているが除染作業にも大きな問題を抱えている。放射能に汚染された土壌など汚染物の保管、処分場の確保は解決していない。東京都知事選では汚染物の処分場を東京都も確保しなければならないだろうと言った候補者もいたが落選した。

農業、漁業復興に風評被害は障害になる。家内が買い物から帰って「東北の○○が出てたが手が出なかった。大丈夫なのかしら」とよく言う。「問題ないから店に出ているんだろう」と言い返す。でも魚は汚染されているのがあるらしい。汚染水で海の底質が放射能汚染されているのが見つかった。今は試験操業だと言う。

南海トラフ巨大地震被害想定
2013.3.18 NHKニュースヲッチ9
東北復興の一つ一つが他人事ではない。首都直下地震、南海トラフ巨大地震の発生が危惧され、被害は東北地方太平洋沖地震どころではないのだ。一つ一つのニュースを自分のこととして考えなければならない時なのだ。

中央官僚機構も省利省益、縦割り行政を止め、焼け太りを止め国民のための行政に転換しなければならない。今のうちに国民の信頼を取り戻しておくべきだ。 



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