2014年3月26日水曜日

IPCC第5次報告:政治問題化先行で科学的検証を欠き表現に苦しむ?

25日から横浜市で総会開催
TBSテレビ ひるおび
2014.3.25
25日から横浜でIPCC第2作業部会の総会が始まった。今年はIPCC第五次報告書が出されるが、メデイアが報じる報告書の内容は政治問題化が先行したため科学的検証が遅れ、その表現に苦しんでいるようだ。地球温暖化防止対策は私たちが日常出来ることをやらなければならないが、その要因推定が理解しにくい。

そして温室効果ガス削減計画では先進国、新興国で経済発展の思惑が絡み削減計画先送りが続く。国内問題もうまく処理出来ないのに国際間で調整など出来っこないのだ。おまけに温暖化防止対策には莫大な資金が必要になる。新興国は先進国からの資金の流れを期待する。

ところで、いつも問題になるのが地球温暖化の要因だ。CO2など人為説と自然変動説が論戦を挑むが、十分且つ、広い分野の研究者による科学的検証がお座なりになりCO2など人為説が一人歩きする。

IPCC第5次報告書では気候変動の要因推定を1951~2010年世界平均気温の観測された「上昇の半分以上」はCO2など温室効果ガスの人為的増加とその他の人為的起源強制力の組み合わせによって引き起こされた「可能性が極めて高い」と記述されている。

では、「残り半分近くは自然変動要因によるものなのか」ということになるのだが、CO2人為説を唱える者にとってはそうではないらしい。

第4次報告書では「可能性が非常に高い」となっているが、極めて高いとどう違うのか。「90%以上」と「95%以上」の違いらしいが感覚的には分かりにくい表現だ。

また、第4次報告書では最大で6.4度上昇すると言うが、第5次報告書では最大で4.8度上昇するという。環境省は日本の平均気温は今世紀末に3.5~6.4度上がるという。

この違いはシナリオなどが異なるのだろうが、6年の間には新しい所見も得られるのでそういったデータを組み込むことで確度の高い気温上昇予測が得られるのだろう。

一方、よく聞くことに「気温上昇を2度以下に抑える」という目標(?)がある。環境の激変を避けるためには、産業革命前に比べて2度以内に抑える必要があるという。気温上昇を出来るだけ低く抑えることは当然だろうが、2度の根拠は何なのか。

地球温暖化の科学的検証をしっかりやるべきで、自然変動説に立てば特に何をすると言うこともないのだが、CO2など人為説に立てば急ぐのは削減対策なのだ。勿論削減を初めても直ぐに平均気温が下がることはないという。

2010年の世界全体の温室効果ガス排出量はCO2換算で495億トン、地球大気のCO2濃度も400ppmに達した。日本でも東北の測定点で400ppmを越えた。

報告書案では2度を突破しないためには今世紀末までに480ppm以下にする必要があるし、2050年の世界の排出量を2010年比で40~70%削減しないといけないと言うのだがその目処は立っていない(朝日新聞2014.3.18)。

日本の排出量は3~4%だろう。それで削減計画を立ててがんばっても世界の気温への影響は誤差内なのだ。それぞれ約20%を占める米国、中国の取り組みが重要になるが、経済成長に支障となる課題に対して中国は「発展途上の大国」論を打ったことがある。

25日から横浜で開かれる総会はIPCC第2作業部会で「地球温暖化による暮らしや生態系への影響」を検討するのだ。被害の予測や被害を軽くする「適応策」をどこまで具体的に示せるかが焦点という(讀賣新聞2014.3.26)。

環境省の研究プロジェクトチームは、今世紀末には基準年に比べ降雨量は9~16%増、海面は最大で63cm上昇、砂浜は最大で85%失われるという。今でも洪水被害がニュースにたびたび載り2000億円程度の被害であるが、今世紀末には更に約4800億円増える可能性があると言い、熱中症による死亡リスクが高まり、自然生態系、農産物への影響は計り知れないようだ(朝日新聞2014.3.18)。

世界規模で温室効果ガス削減が進めば悪影響は相当程度抑制できるが、現状を上まることは避けられない。一番厳しい削減策をとった場合、気温上昇は1~2.8度に抑えることが出来るという(同上)。

最悪の場合平均気温は最大で4.8度上昇予測が出ているので2.8度以下に抑えるには並大抵のことではないことが分かる。各国が自国の利害で論議していては解決出来ない。

今後、気温の上昇はなだらかと予測
英国気象庁 2012年12月予測
エコノミスト誌が報じた温暖化の「停滞」
国際環境経済研究所より
ところが、今、CO2排出量は増加しているにも係わらず地球表面の平均気温は上昇していないのだ。2013年3月30日付のエコノミスト誌が衝撃的な事実を報じ、英国気象庁も気温の上昇は今後なだらかになると予測しているのだ(エコノミスト誌が報じた温暖化の「停滞」 NPO法人国際環境経済研究所 )。

地球温暖化の要因に自然変動説を唱えている気象学者が、「人為説とどちらが正しいか直ぐに分かる」と豪語していたが、CO2排出量が増えているのに気温の上昇が鈍っていることは人為説にとっては悩ましいことだ。

一時的に火山噴火、太陽活動など自然変動が影響しているのではないかとも言えるが、地球温暖化要因の科学的検証をしっかりやらなければ、各国政府の取り組み、国民の取り組みにも緩みが出てくるのではないか。

科学的検証を後回しに、政治問題化が先行したため弊害が出ている。そんな気がする。


[後記]
国連気候変動枠組みj峰約のフィゲレス事務局長が、新しい削減計画に向け「危険ゾーンから脱するための動機づけは科学から生まれる」と期待を表明したそうだ(朝日新聞2014.3.26)。全く同感であるが、CO2など人為説に対してもっと検証すべきではないか。

                                        (2014.3.26)

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