2014年4月18日金曜日

理研、STAP細胞疑惑での調査報告、論文構成:組織が一度決めたことを覆すことは至難の業

組織として一度決まったことを覆すのは至難の業だ。理研のSTAP細胞論文疑惑での調査報告、投稿論文も同じことだ。ガバナンスの問題になると組織の土台が揺らぐ事になりかねず、経営者は極力避けようとする。

笹井さんの記者会見での「データの改ざん、ねつ造が防止できなかったか」の指摘に対して、笹井さんはnatureへの初回の投稿論文は小保方、若山さんで着想、実験、論文作成したもので、笹井さんはその時は参加していなかったと改ざん、ねつ造疑惑に責任回避とも取れる発言をした。

若山研で作成していたので、後から参加し図表の解析、実験ノートの確認は困難だったというのだが、これはある程度理解できる。例えNo2の立場だとは言え、前の上司の判断を覆すのは大変なことであることは理解すべきである。民間企業でも大変なことで相当の理由を挙げなければならないが、官庁の仕事はほぼ100%不可能だ。

でも参加後の実験などに関しては一緒に解析したという。これは当然のことだろう。

寧ろ再投稿で書き直した時に初回投稿論文の図表などの説明を小保方さんは笹井さんにしたと見るべきであるが、その時由来について、どういう説明をしたかだ。間違いに気づかなかったのは小保方さんの責任は重大である。後になって「真正な画像がある」と言っても「自首すれば刑罰は軽減される」式の考えは通用しないのではないか。

理研の調査報告にしても稚拙さが目立つが判断を覆すことは無理ではなかろうか。

理事に当たる人が前日に小保方さんに調査報告書を提示したと言うが、調査報告会見の直後に小保方さんの「驚きと怒り」コメントが発表されたことからも推測できる。

本来であれば、調査報告書を提示し、小保方さんの反論、新たな資料の提出など両者でよく検討すべきであったと思うが、それがなかったために今、弁護団を相手に再調査の是非をめぐって駆け引きがなされている。弁護団にしてみれば小保方さんの体調のことを考えると急ぐことだけは避けたいようだ。

又、調査委員長が理研の上席研究員だったこともあり、公平を確保するためにもメンバーの入れ替えを要求しているが、一度決めたメンバーなのだから変更はしないのではないか。私は科学ジャーナリストぐらいは入れた方が良いと思うのだがしないだろう。

そして小保方さんは、論点を「悪意なき過失」と理研の規程の解釈に持ち込んでいる。新しく提出された資料で再調査の是非を判断する時間はかかるだろうが、「改ざん」「ねつ造」を覆すことはできないのではないか。

「小保方さん一人の不正行為」判断も笹井さんや若山さんに不正行為がなかったと判断されれば小保方さんが主著者なのだから仕方ないことだ。

ただ、上司、共著者として笹井さん、若山さん等の責任は逃れられないのは当然だ。それは調査報告書でも言及されている。要は懲罰でどうバランスを取るかだ。

小保方さんの弁護団にとっては、「再調査、調査結果の変更」は勝ったと言うことになるのだろうが、理研がそこまで譲歩するとは考えにくくないか。

このSTAP細胞論文疑惑は法的論争ではなく、科学的面で判断すべきである。

コピペ、改ざん、ねつ造、「結果が正しければ問題はない」発想は科学者にとってはあってはならないことだ。こんな論争を続けて居れば世界中の笑いものになるばかりだ。

理研のガバナンスの欠如は大いに反省すべきであるが、国立大学改革、研究予算、人員の削減、集中投資など政権の研究開発行政、成長戦略にも問題があるのではないか。

組織が一度決めたことを覆すことは至難の業だ。だからこそ慎重で、公正な対応が必要なのだ。

日本のトップ研究機関が、どう判断するか注目だ。

0 件のコメント: