2014年4月16日水曜日

STAP論文疑惑で笹井さん記者会見:それでも「STAP現象はある」のか

STAP細胞論文疑惑でキーマンと見なされている笹井副センター長が会見に臨み「STAP現象はある」、論文の撤回には同意するが、STAP現象を前提としたデータもあり「検証すべき合理性のある仮説」と言い切った。

日テレの情報番組、ミヤネ屋で笹井さんの記者会見の中継を見た。

まず、謝罪の後、理研や小保方さんの記者会見で出て来た論文での数々過誤、齟齬について、上司の立場、ES細胞研究の第一人者として笹井さんの立場で説明、次々と疑惑が出てくる小保方さんとは違って専門家もある程度納得したのではなかろうか。

しかし驚くことに、このような重大な論文(?)の作成に全体をみる責任者が不在だったことだ。この論文作成の2年間の内で笹井さんがかかわったのは最後の2ヶ月の論文の書き直しで、ほとんどが小保方さん、若山さんそしてアイデイアはバカンテイ教授だという。

私たちは笹井さんがキーマンと思っていたので、責任逃れのようにも聞こえたが、実体はそうだったのだろう。小保方さんや若山さんがどう反論するかだ。

笹井さんによると、Natureへの投稿は着想→実験実施→解析→図表などの作成であるが、着想はハーバード大、若山研、実験実施も若山研、解析、図表作成も小保方、若山でやり2011年春に投稿したが却下された。そのために論文書き直しで笹井さんが協力するようになったようだ。原理は初めてこのとき知り、筋書き、フィギュアを再提出、2013年3月に再投稿した。笹井さんは最後の2ヶ月の仕事だった。

小保方さんをリーダーに選んだのは、本人のプロジェクト、独創性、準備状況、推薦などで決定した通常の人事採用だったとも言う。

小保方さんの研究の独創性、生物学の常識を覆す研究と言うことで、一度はnatureへの投稿が拒否されたが、笹井さんが協力することで掲載を達成したことになる。

理研は組織を上げてこのSTAP細胞に大きな期待をかけていたことが分かる。

うがった見方をすると、政権が急いでいた特別国立研究開発法人の指定に向けてアピールする魂胆も見え隠れする。

STAP細胞の存在については、過誤、齟齬のある論文は撤回するのが最適な処置であるが再現については検証が必要な合理的仮説だという。STAP細胞でないと説明できない事もあり、今まで知られている細胞ではないことは確かだとも言う。

過誤を見抜けなかったことは決してあってはならないことであるが、すでに論文として形になり、生データ、実験ノートを見る機会はなかった。直属の部下ではなかったことも見せろとは言いにくかったそうだ。

又、図表などの整合性は高く、過誤は見抜けなかったが、参加後はデータを一緒に解析したそうだ。文章のできあがり、解析の2重、3重のチェックが出来なかったのだ。

科学的面で3点の説明があった。

STAP細胞を説明できるデータは3つのカテゴリーであると会見場で資料を配付して説明したようだ。

1つは、内部セル・イメージング、2つ目は特徴ある細胞で、STAP細胞はES細胞の半分ぐらいの小さな細胞で他の細胞と違う。ES細胞の混入はない。3つ目はESは増殖が高いが、STAPは低い。分散すると死んで増殖しない。

混入は考えられないし、今まで知られている細胞ではないことは確かでSTAP細胞を前提としなければ説明できないと言うのだ。

素人なので理解するのは大変であるが、科学的な説明で好感は持てた。

情報番組なので、それでも45分間の中継で3時間以上に及ぶ会見の全部は中継できなかったので、その後の質疑はどうなったか分からない。明日の新聞で詳しいことが分かるだろう。

それにしても、我が国を代表する研究機関の論文チェックが不十分で、責任者も曖昧なまま論文を投稿、新聞記者を集めての大々的な論文発表までは良かったが、改ざん、ねつ造疑惑を生み日本の科学界の信頼失墜の結果になったことは、理研のガバナンスに重大な欠陥があったことになる。

理研がこの疑惑事件、小保方さんとの論争をどう処理し、改革していくのか注目されるところだ。

この会見からうかがえたことは、「STAPは自分の仕事ではない」と言い、小保方さん、若山さん、バカンテイ教授の仕上げた論文という気楽さがあったのだろうが、実験には手を染めず請われて共著者になったとはいえ、連帯責任は逃れない。今までの業績に汚点を残す結果になったのではないだろうか。

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