2014年4月25日金曜日

日米・TPP交渉:相手の「譲歩」しか打開策がない硬直した交渉か

日米・TPP交渉も相手の譲歩しか打開策がない硬直した交渉になってきた。24日の交渉も大筋での合意が出来ず、甘利―フロマンによる協議も歩み寄りがなく日米首脳会談も異例の共同声明なしに終わりそうだという。

両首脳は交渉担当者に「残された作業を決着させ、TPP交渉全体を早期に妥結させるよう指示した」と言い、「リーダーシップを発揮することが安倍総理、オバマ大統領に課せられた責任」とまで言うが、前進出来るかどうかは相手方の「譲歩」次第というのが双方の立場だ。

オバマ大統領は中間選挙も控え、支持率は45%、議会からも「関税ゼロ」を要求され交渉に自由度が全くないのだから安倍総理に「譲歩」を迫るしかないのだ。

甘利さんは「かなり前進があったが課題が残されている」というように、25日の新聞報道も課題の羅列だ。

そもそも生産者を守りたい日本と、関税ゼロで輸出を伸ばしたい米国では最初から基本的考え方が違う。

チョット待った。今、情報番組(テレビ朝日 スクランブルワイド)で共同声明が発表され、オバマ大統領の離日を中継している。

共同声明では「TPP交渉は前進の道筋を確認した」と言うことになったらしい。甘利さんは「一定の前進があった」とコメントしているが、何かよく分からない交渉の結末だ。外交とは言いながら国内問題をさらけ出した交渉になった。

新聞報道によると、豚肉関税と自動車の安全基準が問題になっているようだ。米国は養豚世界一で輸出を伸ばしたいので豚肉関税の引き下げを要求するが、日本は生産額では牛肉を上回り零細の養豚業者を保護したいのだ。

自動車では非関税障壁とも言われている安全基準がやり玉に挙がっているが、日本は道路も狭く、人身事故での人間の被害軽減対策が米国と大きく違うところらしい。国民の安全に影響する課題であり、おいそれと譲歩出来るものではない。

財界は、雇用、海外輸出をふやすものであり決裂はあり得なく、早期実現を主張するし、エコノミストにも2国間ではなく多国間での経済連携で輸出の拡大に繫がると推進に期待をかける。

輸出が伸ばせるのであれば雇用も確保でき良いことずくめだが、本当にそうなのか。安くなることは良いことだが、安全確保は国民一人一人が責任を持つことになるのだ。

何でもそうだが、自由化はそれだけの覚悟が必要だ。

今回の首脳会談、TPP交渉で無理に合意をしなかったのは正解だろう。それぞれに国内事情を抱え、それどころではなかったのだ。


[ 後記]
TPP交渉が難航したと思っていたが、実際には「大筋合意」で日本が譲歩していたようだ。
26日の新聞報道でそう感じた。補選などへの影響を恐れて交渉が難航していることを演出するという高度の政治判断を下したのだろう。補選で安倍政権に「NO」を突きつけよう。

オバマ大統領は軽快な足取りでタラップを駆け上がる姿に「満足」の意思がうかがえた。今だから言えるのだが。
                   
                      (2014.4.26)



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