2014年5月7日水曜日

安倍総理の「私は改革を恐れない」:目指すは誰のために改革か

安倍総理は「私は改革を恐れない」と言うが、庶民には負担ばかり強いる政治で、一体誰のための改革を目指しているのか。大企業の経営者を引き連れてのトップセールス、「アベノミクスの成果」をPRするヨーロッパ訪問先から「私は改革を恐れない」と威勢の良い発言が帰ってきた。

テレビの報道から思い出すと、「日本へ来ていない人は是非来て日本が変わっていることを見てほしい」「改革に拘ることでアベノミクスは完成する」「デフレから脱却しようとしている」そして「規制をドリルの刃で切り裂く」という意味の発言をしていた。

本当に安倍総理は改革者なのか。

確かに自民党政権から続く1年チョット前の民主党政権の失政は大きかった。小沢さん率いる鳩山内閣、「オレがオレが」の菅内閣、そして参院のドン(名前は忘れた)に押し上げられた野田内閣は党内の権力抗争に明け暮れ国民に政治を近づけさせた面もあったが、思ってもみなかった大震災、福島第一原発事故対応で国民の信用を失う結果になった。

そこに自民党は下馬評とは違って安倍さんが総裁に座に着き、民主党政権も言い出し始めていたインフレターゲットや異次元の金融緩和を日銀に強く要求し、円高→円安、株安→株高に大きく転換するきっかけを作り、一気に人気が出て来た。衆院選でも圧倒的に多数の議席を確保し一党独裁の様相を呈している。

円安で驚いたことに赤字の大企業が一転、黒字化したという。多くの企業が経営を立て直すことが出来たそうだが、中小企業には円安は却って迷惑という。中小企業あっての日本経済だから、これでは遺憾ともしがたい。

更に危険なことには、自分の目指す政策に対しては、日銀総裁や法制局長官など人事に介入してまで徹底しようとする安倍総理は改革者と言うより「危険な総理」総理であることはNHKの会長人事(実際にはNHK経営委員に自分の考えとあった2人を送り込む)でもはっきりしている。政権の政策に異論を唱える放送にNOを突きつけているのだ。

集団的自衛権行使に対して憲法9条の解釈見直しを目論んでおり、現行日本国憲法を「25人の素人がたった8日間で作った事実をちゃんと見ろ」と言い、独立国家として独自の憲法制定を目指すが、しかしこの背景には大きな誤解がある。GHQ草案は決して「押しつけ」ではなかったのだ。今の憲法の作成過程をしっかり把握すべきである。
また、アベノミクスの成果を上げるには、成長戦略、規制改革が不可欠であるが、第3の矢は不評で期待出来ないとみてか、6月中に成長戦略の見直しをするという。成長分野に効率的な資金の投入、規制改革を目指しているのだろうが、同じ官僚が考えて期待出来る政策が出てくるのか。

出せるものならすでに出ているはずだと言う疑いの目を持った見方もある。

うまく行かない要因に、官僚組織、族議員や大企業の既得権益者の抵抗があるのではないか。官僚が自らの利権を失うような政策を打ち出すはずがない。だから法人税下げで海外の企業を日本に誘致することなどできないのだ。国際戦略特区構想だってそうだ。

「政策は、官僚機構、族議員、大企業、富裕者層のためにある」とは以前から言われていたことであるが、安倍総理の政策も違わない。

安倍総理は日本のトップセールスマンとして大企業の経営者を引き連れての外遊だが、原発、武器輸出のにおいが強い。

消費税の増税分は社会保障費に回ると言うが、一方で赤字国債を発行し公共事業を増やしている。国土強靱化、景気対策と言い、すでに6割は契約を終わったと効果を強調するが
実体はそう簡単なものではなさそうだ。

消費税8%は大した反動もなく、現状は想定内とみているようだが10%への判断はどうなるか。7~9月期の経済指標次第だという。

念願だった2年で2%の消費者物価安定目標も日銀の強気の見通しとは打って変わって、民間エコノミストは1%程度とみている。

未達なら日銀総裁、副総裁は辞任すべきだが、安倍総理はどうするのか。

安倍総理は「津々浦々までアベノミクスの効果を」と機会ある毎に言っているが、アベノミクスの効果は都市部で出ているだけで、農村、漁村の人口減、過疎化の状況下では願いは届かない。

安倍総理は自らを改革者として振る舞おうとしているが、今のままでは悪しき改革者のレッテルを貼られる可能性が強い。

官僚組織、族議員の既得権益者、大企業、富裕者層のために改革ではなく、庶民のための改革でないと政治家としては2流、3流だ。

海外で威勢の良いことを言うのもしかたないが、国内でしっかり既得権益者と闘ってほしいと思うが、その覚悟が安倍総理にはあるのか。

今になって、「民主党政権で岡田さん、前原さんだったらどうだろう」と思うようになってきた。

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