2014年8月10日日曜日

逆説 STAP細胞論文不正:笹井さんは全てを見抜いていたのではないか

逆説的だが、STAP細胞論文疑惑で、笹井さんは全てを見抜いていたのではないか。小保方さんの論文を再構成し直し、「さすが笹井さん」と言わしめた程の仕上がりと笹井さんが共著者に名を連ねることでNature誌に掲載されることになり、そこからノーベル賞候補と言われた笹井さんの人生が大きく変わった。

笹井さんの死後、テレビの情報番組で取り上げられる場面は、1月の論文発表時の満面の喜びと「大学院時代を含め25年間ですごいインパクトのある論文」発言と4月の弁明記者会見での「間違いを見抜けなかった」発言だ。

幾多の論文を発表し、海外の多くの論文を読み解いている笹井さんほどの世界的研究者が、本当に小保方論文の「間違いを見抜けなかった」のか。はなはだ疑問だ。

画像では科学誌の査読者から画像捏造疑惑が指摘され、「ES細胞ではないか」などの疑問が持ち上がっていた。

又、先日のNHKスペシャル番組での検証でも参加した専門家が「こういうのあり得るのか」とか、「TCRの再構築等の記述はあるが、その結果が分からない」のに何故再調査しなかったのか、「説明の不十分さを共著者が知っていたとしたら、このストーリーは成り立たない」などの辛辣な指摘がされていた。

それなのに、何故、「笹井さんともあろう研究者が見抜けなかったのか」という疑念が残る。

もっと丁寧に検証していれば、こういう事態は避けられたのだが何故、他の専門家の指摘を無視し続けたのか。

笹井さんがアドバイサーとして参加し論文を再構築した時は、時間的制限があり再調査し直す時間がなくて、「仕方ない。このままで行くしかない」ということになったのではないか。「整合性的に説明できない面はあるが、多分分からないだろう」と思ったとしても不思議ではない。

その背後には、特定国家研究開発法人の認定、特許の問題があったのではなかろうか。

特定国家研究開発法人構想は理事長の野依さんと文部科学省が推し進めていた構想だ。理研が認定されるにしてもタイミングとしてインパクトを与えることが必要だったのだ。メデイアの報道によると、発表前に野依理事長が不安がる小保方さんを気遣って「小保方さんを守れ」と周囲に言ったという。理事長の期待も大きかったと思う。

「生物学の常識を覆す理論」とまで主張するのであれば、もっと丁寧な実験をして欲しかった。そして念には念を入れ第3者の再現実験を経て投稿すべきだったのではないか。

テレビの情報番組を見ながら「笹井さんは全てを見抜いていたが、どうしようもなかったのだ」と考えるに至った。

NHKスペシャル番組の中で、「不正をどうやって防止するか」の問に、常に不正防止を考えていなければならないとしながらも、組織の思惑がプレッシャーとなり不正に走ることにもなると言うのだ。組織の風土の問題なのだ。

それにしても惜しい人材を失ったものだ。小保方さんと言う若い研究者とSTAP細胞に出会わなかったらもっと実績を残すことの出来る研究者だったのだ。

一方で小保方さんに「必ずSTAP細胞を再現してください」と遺言で残したらしい。小保方さん宛の遺言の内容が本人も知らないうちに(?)、巷間に飛び交っていることに不思議さを感じるが、それでもSTAP細胞の存在を信じていたのだろうか。そうではなくて、若い研究者である小保方さんを激励するために「初心に返ってがんばれ」と言ったまでのことではないのか。




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