2014年8月9日土曜日

地政学リスクの中で円、国債が何故、安全資産?:その根底に平和憲法の第9条があるのではないか

欧米で何かあると市場は為替、株価で反応し安全資産として円、国債が買われ株安になる。日本の経済情勢を考えても本当に日本は安全資産なのかと思うのだが、やっぱり平和憲法の第9条があるためではないか。

その憲法第9条も解釈見直しで集団的自衛権行使の容認に向け閣議決定し関連法案の改正、制定が予定されている。

「戦争には無関係」と思われた日本も国際紛争へ一歩踏み込むことになると、何時までも「安全資産」と言ってはいられない。

8日の株価は4番目の大きさである450円安で2ヶ月ぶりに15000円を割り込んだ。イラク、ウクライナの情勢も緊迫感を増し地政学的リスクが高まったことが大きく影響しているらしい。

逆に市場はリスク回避で円や国債の買いに走った。円相場は102円半ばから101円前半に値上がりし、国債の長期金利は0.5%へ下がった。

市場は円、国債を安全資産と考えたのだ。

でも、本当に日本は安全資産なのか。

G20,IMFからは国の借金を減らせと勧告されている。今、1039兆円で来年3月には1143兆円になると予測され、対GDP比は先進国一悪い200%越えだが、逆に資産も持っていると安心する向きもある。

アベノミクスの効果で経済成長しGDPが増えれば対GDP比も改善するがそれも大変なようだ。民間予測のGDP成長率はマイナス7%、経常収支は初めて5075億円の赤字になり、続く消費税増税10%はどうなるか。

安倍政権は海外の企業を誘致しようと法人税下げなど企業活動がしやすいように環境整備に努めているが日本企業の海外進出は進んでいるので輸出はそんなに伸びない。

悲観論ばかり言ってもいられない。希望を持ちたいところだが、日本の安全資産の考え方は、やっぱり平和憲法第9条にあるのではないか。これは世界の誰でもが認めることではなかろうか。

「日本の今の繁栄は第9条の元での平和憲法にある」とよく言われることだし、先日の広島での平和記念式典で広島市長は「日本は69年間戦争をやってこなかったことを重く受け止めるべきである」とのメッセージを世界に発信した。

ところがその平和憲法の根源である「第9条」が安倍総理の集団的樹影権行使の解釈見直しで変質しようとしている。

一政権の閣議決定の効力に疑問も残るが、安倍政権が続く限り効力は続く。今後の関連法案改正、制定が国会審議に上ってくる。その都度、憲法9条違反と聲髙に訴えても閣議決定はしているし、内閣法制局も人事介入で行使容認に傾いている。訴訟に持ち込めば最高裁の判断が出るだろうが、安倍政権は最高裁長官人事にも口出ししている。

国民の民意は、沖縄県知事選、福島県知事選などに続く地方統一選挙で反映させることになるだろうが、姑息にも安倍政権は関連法案の提出を統一地方選の後にしようとし、国民の批判を回避しようとしている。

ところで今、読売新聞が「昭和時代」の特集を組んでおり、9日は「憲法制定(上)」で「米国、日本の試案を拒否」の記事が掲載された。

日本国憲法は「押しつけられた憲法」との批判があり憲法改正を訴える議員、政党が多くなってきたが本当の経緯はこの記事である程度知ることが出来る。

確かにマッカーサーに押しつけられたように見えるが、米・国務省、極東委員会の案では「戦争放棄」は記されておらずマッカーサーGHQの意向が大きく影響したのだ。

当時、日本も明治憲法の改正は前提とせず、解釈、運用や法律の改正で対応できると考えて「憲法改正要綱」を提出したが、GHQは民主主義に反すると拒否し、GHQ自ら草案を作ったのだ。

戦争を経験した人は、この憲法を見て「これで日本は民主主義国家になれる」と涙したものだ。

そういう経緯のある日本国憲法第9条を国民の審判なしで、解釈、運用、法改正で異質なものに替えようとしているのだ。
これで世界の市場が「日本も戦争に巻き込まれる危険がある」と判断したら、日本の円、国債は安全資産と考えるだろうか。


憲法9条があるために日本は安全資産と思われているのではないか。

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