2014年11月18日火曜日

アベノミクスの評価:「失敗」とも言えず、だからと言って「成功」とも言えず?

アベノミクスの評価は「失敗」とも言えず、だからと言って「成功」とも言えない微妙な位置だ。7~9月期のGDP速報値が前期比マイナス0.4%、年率マイナス1.6%で、民間の事前の予測値プラス2.7%を大きく下回ったために「まさかの想定外」で市場は大きなショックを受け、株価は約500円安の16973円80銭で17000円を割った。

この速報値は何ら手を加えていないのか。勘ぐれば、安倍総理の言う「消費税再増税を先送りし、国民に信を問うために解散・総選挙」に打って出るために、国民に説得しやすいようにプラス成長を改ざんしマイナス成長にしてしまったということはなかったのか。それほどプラス成長だったとしても低い数値だったのではないかと見るのだが。

安倍総理は「残念ながらよい数字ではない」、「デフレ脱却のチャンスをやっとつかんだのだから、このチャンスを逃してはならない」と記者会見で言っていた。

安倍総理の経済政策であるアベノミクスで長いデフレから抜け出せることが出来そうになった今、ここで再増税して更なる景気後退をさせてはならない」と言うので、「増税先送り」を決めるのだろう。

野党幹部は「アベノミクスは失敗した」、「アベノミクスの限界を証明」、「経済政策の失敗」と批判ののろしを上げる。総選挙になればここが争点になるのだ。

都会では改善しているようだが、地方へ行くとアベノミクスの「効果は出ていない」とか「受けていない」という声が多く、地方では野党の主張が説得力を得るのは確かだ。

一方、甘利さんは、GDPの60%を占める個人消費もマイナス5.6%からプラス0.4%になるなど「失敗はしていない」というが、「成功」ともいえないようだ。

アベノミクスが目指す「経済のよい循環」は起きていない。

「第1の矢」でインフレターゲット設定、強力な金融緩和で円安になった(?)というが、これが企業収益の増加→家計収入増→消費増→内需拡大、経済拡大と動けばいいが、今は円安→物価高→家計の実質所得マイナス成長→生活苦、中小企業の経営難で「悪い経済循環」の様相をきたしている。

内需の拡大ができないのだ。

これには歴史があり、昔から各政権は内需拡大の策を練ってきた。前川レポート、21世紀版前川レポートが出ているが、結局のところは企業の儲けをいかにして家計に再分配するかで経済界の了解は取れなかった。

今でも同じことが起きているのではないか。賃金を削減してでも内部留保に努める企業の行動は変わっていない。クルーグマン教授が「労働者の犠牲の上に企業の儲けがある」というのも当たっている。

この2期連続でのGDPのマイナス成長でも、経済界は経済成長のための規制改革を要求するが、政府の成長戦略にも限界があり、もう頼れないのははっきりしているのではないか。

これからは経済界自身がこの難局を切り開いていく姿勢を見せなければならないのではないか。

政府、日銀の目指す2%成長率、物価上昇も需要があっての事で、供給過剰では達成できない。
経済界は自ら需要の開拓に努めるべきだ。そうして壁にぶつかった時は、その時に政府に改革を訴えたらどうなのか。

ヤマト運輸の「クロネコ宅急便」の新規事業の開拓物語が頭に浮かんでくる。




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