2014年12月2日火曜日

与野党・8党首討論会:目指している「日本経済の姿」がわからない

読売新聞 2014.12.2
1日、日本記者クラブで開催された8党首討論会の発言内容を新聞で読んでみた。安倍総理が自ら「アベノミクス解散」と言ったようにアベノミクスの評価を現在の経済指標などで言い合っていたが、一体「どんな日本経済の姿」を描いているのかわからない。

1日の株価は17590円で7年ぶりの高値、為替も一時1ドル119円台まで下落した。安倍総理の政策ではなく、原油価格の値下げ、OPECの原産見送りなどで世界経済は回復期待で円売り、ドル買いになったようだ。まだ円安傾向は続くという

一方、今回の安倍総理の増税先送りで国債への信用下落で格付け会社・ムーデイ-ズは日本国債の格付けをAa3からA1に落とした。消費税増税先送りで税収が減ることによる財政再建が遠のき、国債下落、長期金利上昇の危険があるからだ。
 
チェコ、イスラエルと同位で中国、韓国より下なのだ。日本経済は本当に強いのか、弱いのか。借金が先進国一多い1000兆円を超と言うことはGDPの2倍、財政再建、成長戦略の2本立ては簡単にはいけそうにないが、安倍総理は日本再生の両輪だと言う。

もう耳にたこが出る位聞いた安倍総理の政権を取って雇用は100万人増えたし賃金も増えたと言うが、雇用の内容は非正規従業員の増加であり、賃金の実質成長率は15ヶ月マイナス成長だ。本当に喜んで良いのか首をかしげる。

結局は安倍総理の「この道」も「この先、路幅狭く対向車多し、速度に注意!」と言うことか。

安倍総理は「デフレ脱却にはこの道しかない」と15年間のデフレの苦労からやっと脱出するチャンスを掴んだという。だからアベノミクスでこの道を進むしかないというのだ。

ところが民主党・海江田さんは「方向性は良いのか」と経済政策の見直しを要求する。野党も考えが一致していないようで、維新の党や次世代の党はある程度評価しているが是々非々で当たると言う。

共産党に至っては「暴走 ストップ」だ。

与野党議論百出だが、アベノミクスで経済を評価するのは難しい。金融政策、財政政策、成長戦略を一緒くたにしているからだ。安倍総理にとってはアベノミクスというオブラートに全て包み込めばごまかしも出来る。

又、テレビの報道も変わってきた。

TBSテレビ「ニュース23」で安倍総理が生出演したときの街角インタビューに切れまくった安倍総理は大人げなかったが、今度は「報道の中立、公平」を要求する文書まで出してしまった。

そのためかどうかは知らないが、今までのアベノミクスの評価のインタビューでは中小企業の経営者が「アベノミクスの効果は見られない」という発言が多かったが、昨日のテレビの報道では「景気は良くなったような気がする」的な発言がほとんどだ。東京・大田区の町工場で聞けば「円高による原材料高で経営は厳しい」と言う意見は本当なのだ。それを「今儲かっていると言えば注文主からもっとまけろと言われる。誰が本当のことを言いますか」と反論したのが安倍総理なのだ。

あのニュース23を見ていたが、キャスターなどに発言の時間がないくらいに経済指標を並べ上げまくし立てた安倍総理は異様だった。

やっぱりアベノミクスの評価は自らの身の回りの状況から自分で判断することだ。

ところで、8党首はどんな日本の経済社会を目指しているのか。

安倍総理は、「この道」でデフレ脱却を目指すと言う。2%の物価目標を目指すにしても今は円安による物価高、消費税増税による景気停滞で「好ましからざる経済循環」だ。好ましいか好ましくないかは関係なく2%目標を達成すれば良いというのか。

民主党・海江田さんは「分厚い中間層」構想で人へ投資し、消費を拡大、景気好転を目指すと言うが、他の党首から「財源はどうするんだ」と問われていた。

公明党は政策を自民党に頼っているから「好循環が生まれている」と言い再増税時は、軽減税率を導入するという。

社民党は家計を支援し、雇用、所得の安定を目指すと言うのだ。


差し迫った今をどうするかで一杯で、日本社会の再生像など描けていないのだ。安倍総理に軌道修正など要求しても聞く耳を持たない。

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