2015年6月12日金曜日

政府 骨太の方針を示す:一体、経済財政諮問会議はどういう役目を果たしているのか

6月1日の経済財政諮問会議に民間議員が
提言した「計画のフレーム」
10日、政府は経済財政諮問会議を開き「骨太の方針」の骨子を示した。2020年度までにPB黒字化を目指す財政健全化計画だが、数値目標も示されず具体的な道筋も見えないと不評だ。一体、経済財政諮問会議はどういう役目を果たしているのか。

私も経済財政諮問会議の内容が報道されると気になって、よくHPから甘利担当大臣の記者会見要旨で発言要旨、質疑応答を見ることがあるが、遅れて経済財政諮問会議の議事録要旨もみる。

でもこの会議はどんな会議なのか疑問に思うことがある。政権の重要政策を民間議員が提案、検討する会議なのか、政府がこれから取り組もうとする政策を会議に諮りお墨付きを得る会議なのか。議事録を見る限り反対意見もなく、活発な意見が戦わされた形跡もない。

実際に会議は予めテーマが決まっており、司会の甘利担当大臣が民間議員を指名して説明を求める。

指名された民間議員は資料を基に政策を説明し提言する。その資料を誰が作成したのか。地位の高い民間議員が自ら作成することはないだろう。自分の所属する組織の担当部門に調査作成させるか、経済産業省などの官僚が作成した内容を替わって提言するかだろう。

61日の会議では、民間議員の「計画のフレームについて」と麻生議員(財務相)提出として財政制度等審議会の「財政健全化計画などに関する建議の概要」が配布され、議論された。

2時間ぐらいの短い時間に日本の重大な経済政策等が議論され決まっていくのだ。時の政権のヨイショ機関なのだろうか。それとも別によく議論する機会が設けられているのか。

こういった政府が設置する審議会類には評判の良くないものもあった。小泉政権の時の経済財政諮問会議は問題の多い竹中さんが牛耳った。今の格差社会を築いた元凶と言われている。安倍さんも再度竹中さんを登用しようとしたが自民党が猛反対したようだ。竹中さんのキャラクターは嫌いだ。

又、規制改革で座長(?)を務めた宮内さんは規制改革で出てくる政策を早取りして自分の企業グループの業務拡大に貢献した例もある。郵政民営化で業績の悪い「かんぽの宿」を民間に払い下げる際に途方もない安値で落札した件は物議を醸した。
こう言う会議などのトップには私利私欲で固まった人材はダメだ。そんな中で財界の実力者だった土光敏夫さんは抜群の評価を得ていた。ある時、経済疑惑が降りかかり警視庁の刑事2人が自宅に伺ったがそれらしい立派な建物は見つからない。ここだと思って呼び鈴を押すと奥様が出て来て「主人は今朝早く電車で出かけました」という。刑事はこんな土光さんに疑惑などないと確信したそうだ(後に経済誌で読んだことがある)。

誰が座長などのトップに座るかで信認の度が違ってくる。

ところが今回の骨太方針の要点は、新聞報道によると安倍総理がよく言う「経済再生なくして財政健全化かなし」で、2020年までのPB黒字化、2018年に赤字を対GDP比1%程度、1618年を改革の集中機関とし専門調査会を設置しPDCAで実効性を担保、歳出改革は社会保障、地方財政を重点にするという。

この内容は、61日の経済財政諮問会議で民間議員が提言した「計画のフレームについて」(資料4)の歳出、歳入改革の基本的考え方にそっくりだ。民間議員の提言をそのまま受け入れたことになるのだろう。

でも数値目標、道筋が見えにくいということは、専門調査会を設置しPDCAで実効性を担保するとはいえ目標、道程がはっきりしなければチェックにしようもなく政策の修正もしにくいのではないか。

言い出しっぺで終わってしまう。

我が国の財政再建は3%名目成長率、2%の実質成長率での経済成長で税収増を期待し、一方歳出改革で大胆に削減していくことだろうが10%増税をやっても2020年には9.4兆円の赤字が予想される。その赤字をどう埋めていくかだ。

この3%名目、2%実質成長率を期待するのは安易過ぎると財政制度等審議会がクレームを付けたのは最近のことだ。

経済成長路線に乗ろうとする政府、経済産業省vs財務省の構図だが、財務省だって経済成長による税収増には期待しているのだ。具体的な歳出削減は財政制度等審議会の「財政健全化計画などに関する建議の概要」に則るのだろう。具体的に建議されている。

政府や官僚がやりたいことを諮問しヨイショする会議のお墨付きを得て公表し、実効性に疑問もあるがやってることにするのだろう。
この会議は、一応の議論(?)が終わると記者やテレビカメラが招き入れられ安倍総理の総括が始まる。不思議なことに安倍さんはペーパーを棒読みしているのだ。これを見ると官僚の筋書き通りで全てが「やらせ」に見えてくる。

私たちの生活に大きく影響する政策の検討であればもっと真剣に汗をかけと言いたい。

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2015.6.5掲載

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