2015年9月19日土曜日

自民党よ何処へ

自民党本部
次の参院選、衆院選では厳しい状況が
予想されている
読売新聞 2015.9.19
肝心の事態想定も曖昧で国民の60%以上が「今国会での成立を急ぐ必要はない」と見ていた安保関連法案、安倍総理自身も「国民の理解は進んでいない」と認めならが「時が経てば理解も進む」と強引な政治手法で参院でも採決、成立した。世界の安全維持のため集団的自衛権行使容認で他国と行動を共に出来る、やっと「普通の国」になったと言う。

自公に加え次世代、改革、元気の弱小3野党も生き残りをかけて法案賛成に回り、菅官房長官は10党の内5党が賛成に回ったと記者会見で胸を張った。しかし野党3党との合意内容は法案自身ではなく付帯事項として記載されるという可笑しなことになっているようだ。

選挙の度に議席数を減らす運命にある3党にとっては自民党復党を前提の歩み寄りではなかったのか。

賛成派は中国の尖閣諸島領海侵犯、北朝鮮の核ミサイル問題など日本を取り巻く安保環境が変わっているのだから米国などと同盟を強化し抑止力強化は必要で「良い法案」だという。集団的自衛権行使は国際法でも認められていることは事実というのだ。

一方、反対派は問題がある憲法なら改正手続きを踏むべきで閣議で解釈改憲することは法の安定性を欠き、立憲主義にも反し「違憲」であると主張する。政府の出してきた合憲根拠の砂川判決も集団的自衛権行使まで判断していないと合憲の根拠を否定する。

国論が大きく分かれる中で自民党は総裁選でも見られるように推進論者の安倍総理一色になった。「国民の命、安全を守るため」の安保関連法案の国会審議中に自民党内から異論が出るのを恐れ、出馬を狙っていた野田聖子さん潰しにかかった。

「この道もあるし、あの道もある」と野田さんは言っていたようだが、具体策は聞けないままで安倍さんの無投票再選になった。

一方、国会外での反対運動の参加者が増えてきた。訴えも「戦争させない」「9条を守れ」「憲法守れ」から「安倍政権打倒」になってきたが、国会外の声は聞こえず問題の多い法案の成立になった。

安倍総理は10年来の念願が叶って達成感もあるだろうが、それだけに今後どうなるのか。

金太郎飴状態の自民党から誰がポスト安倍で抜き出してくるのか。

石破さんが総裁選直後に石破さん流に言うとベンチャー企業のような「石破派」を立ち上げた。当面は17人ぐらいで活動するらしいが、何故総裁選前に立ち上げ、出馬しなかったのか。

これからの自民党は茨の道かもしれない。

安倍総理を支持することは、そのまま安倍総理の政治手法を認めたことになりかねない。立憲主義に反し、憲法をも自在に操り法的安定性を欠く政策運営には反対者が多い。

「反立憲」「違憲」のレッテルを貼られて来夏の参院選、早くて3年後(?)の衆院選をどう戦っていくのか。

今、国会は護憲、立憲主義への修正が必要だ。どうするかは有権者が決めることだが、自民党はどう応えるのか。

政権を組む公明党にも「平和を願う」創価学会の批判が集中している。選挙区によっては自民党が推薦し、あるいは公明党が推薦する選挙様式で当選する議員も多かったが、その関係が崩れそうだ。

安倍さんは、政界を引退すると発言した橋下さんに今でもエールを送り続け国政への出馬を匂わすが安倍人気には効果がなさそうだ。適当なことを次から次に発信する橋下さんに期待は出来ない。そもそも「おおさか維新の会」という地方政党に何を頼っているのか。

安倍さんは人気は落ちても安保関連法案を通す強い意志を持っていた。次は何をするのか。

総裁戦後、「アベノミクスの第2ステージ」を打ち上げ、自民党本部の垂れ幕も「景気回復 この道しかない」に変わったがアベノミクスは当初成果が出、株高、円安に基調が変わった。今後は成長戦力、内需拡大策が必要になるが規制緩和、岩盤規制の厚い壁に遮られ期待薄だ。

消費税10%はどうなるか。軽減税率で財務省案に公明党が反対している。景気条項の付帯事項が削除されたので消費税増税しかないが、安倍政権はまた見送りか。

そして安倍政権は異次元の金融政策で始まったが、量的・質的金融緩和もFRBが利上げのタイミングを狙っているように、緩和縮小への道を探っていかなければならない。その時の財政政策をどうするのか。日本経済は大きな正念場を迎えることになる。

サミット開催、TPP、北朝鮮拉致被害者救出、辺野古移設問題そしてオリンピック開催など大きな外交問題が迫っている。

ポスト安倍を潰してばかりでは自民党政権の先はない。超保守ではなく保守系リベラルの政党で生きて行くにはどうすれば良いのか。


「自民党よどこへ行くか」だが、もう一度下野するのか。

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