2015年9月25日金曜日

アベノミクスは実体経済とかけ離れた言葉だけの経済か

総裁選再選後の安倍総理記者会見
新3本の矢を発表
2015.9.24 報道ステーション
安倍総理の経済政策アベノミクスは、実体経済とかけ離れた「期待感だけを煽る」言葉だけの経済なのか。自民党総裁再選後の記者会見で「アベノミクスの第2ステージ」に移ると言うことで「1億総活躍社会」を目指し「新しい3本の矢」を放ったがチョット待った、古い3本の矢はどうなったのか。折れちゃったのか。

今、アベノミクスは実体経済を直視し見直す必要があると多くのエコノミストが提言している。と言うことは古い3本の矢をしっかり検証し次のステップに移るべきではないのか。安保関連法案の審議に時間を取られてしばらく「3本の矢」が聞こえなかったが安保関連法の成立とともに突然に新しい3本の矢が出て来た感じだ。

古い「第1の矢」は、日銀総裁を更迭してまで異次元の量的・質的金融緩和で270兆円、今は300兆円を超える資金を市場に流した。国債価格は維持され長期金利も低水準で企業は投資のためのカネを借りやすい環境にはなった。市場は期待感から円高→円安、株安→株高へ転換し、安倍総理の政権基盤は強固になったかに思えた。

ところが円安は輸入物価高→コスト高→国内消費者物価上昇へとなり、狙いとは逆に経済の悪循環の様相を呈した。それでも政府、日銀は経済成長へ緩やかな回復過程にあると評価し脱デフレを匂わす。

しかし、実体は芳しくない。市場にカネが溢れ金利が低水準でも設備投資にカネがまわらない。内部留保も260兆円を超えており借金してまで投資はしなくても良いし、なんと言っても国内需要が低調なのだ。経営者は今投資したい事業が見つからないと言う。

また、企業は儲かっても実質賃金は長期にわたり下落傾向でGDPの6割を占める個人消費が伸びない。一方で高級品などの購買意欲は旺盛なようだ。

消費税8%への影響もあるが、今度は10%への増税が控えている。景気条項を削除したために今度は必ず増税と言うことになるのだろうが安倍官邸vs財務省の攻防に注目すべきだろう。今話題の軽減税率を導入すればその分税収は減る。

そして一番注意しなければならないのはFRBの利上げのタイミングだ。そうなれば新興国から米国へカネが逆流すると言われているが日本はどうなるか。日銀は量的/質的緩和を継続しているし、景気を支えるために市場は継続を望んでいる。そんな市場がどう動くか。
旧「第2の矢」の財政政策も課題が多い。安倍総理は財政再建と経済成長は両輪だと言うが、相反する政策を同時にやろうとしている感じだ。95兆円と言われる日本の予算も公共事業は3兆円を超える程度まで削減されている。ところが国土強靱化で10年に200兆円を投資するという話も出ていた。1年で20兆円にもなる予算の手当が出来ているのか。更にインフラの維持管理に莫大な予算が必要だ。

海岸寄りの重要な高速道の橋梁が鉄筋がはみ出てボロボロになった状況、河川に架かる橋が老朽化し危険なので通行禁止になっているところも多いようだ。

一方で各国が財政健全化に向け厳しい規制を受けているにもかかわらず、日本だけが猶予されている国の借金は1050兆円、対GDP比230%に達し先進国一悪い状況だ。あのギリシャよりも悪いと指摘する人もいる。

2020年までにPB黒字化を目指すというが今の状況では数兆円の赤字で、どうやって赤字を解消するかが問題になっている。係わった多くの政権が目指すも2020年までの政権ではないために責任などない。安倍政権も任期が2018年9月だから「目指す」といっておけばそれですむか?

旧「第3の矢」の成長戦略は今までどの政権も挑戦したが、族議員、官僚や民間企業の既得権益者の抵抗もあり規制緩和、岩盤規制への打破はなかなかうまく行かない。

アベノミクスの成長戦略も経済産業省vs財務省の構図の中で経済産業省寄りのスタンスを取っているのだろうが財源の当てのない戦略はないに等しい。

結局、折れ気味の「旧3本の矢」に変わって「新3本の矢」を安倍総理の側近連中が持ってきたのだろう。

2050年でも1億人の人口を維持した「1億総活躍社会」の構築を目指すというのだ。
一時、人口増は社会問題になると言って出生率1.4位に落とす政策をとったはずだが、今度は人口減で1.8にしようという。またまた女性が人生設計を考え直さなくてはならなくなったが、そう簡単にはいかない。

新しい第2の矢に希望出生率1.8達成と共に夢をつぐむ子育て支援が上がっている。具体的な政策が新聞報道では分からないが、結婚し家庭を持とうとしている年代の若者が十分な年収が得られることが必須であるが、不安定な非正規従業員ではなく安定な正規従業員など課題は多い。企業としてみれば景気に合わせ雇用も調整できることを望んでいるのだ。

新「第1の矢」では希望を生み出す強い経済が上げられている。GDPを490兆円から600兆円にし、「戦後最大の経済、戦後最大の国民生活の豊かさ」を標榜している。

しばらくの間GDPは1位アメリカ、2位日本と考えていたがいつの間にか2位に中国が上がりGDPは円換算で1200兆円、1位の米国は2000兆円だ。若い頃はアメリカは日本の2倍と考えていたので大きな開きが出て来たことになる。

でも達成は2020年に置いているが、新聞報道では名目3%の成長率が必要になるらしい。最近3%の成長率は経験していないし、日銀が2%成長率を掲げているが楽観しているのは日銀、政府だけでエコノミストの多くは無理とみている。それも2020年達成では責任逃れの政策ではないか。

しかも、国民の豊かさをGDPで図ることは出来ない。財とサービスの合計だから高齢化で社会保障費が上がってもGDPは増加する。社会現象として好ましくないと思ってもGDPは増加する事項が多い。

そして、「新3の矢」が安心につながる社会保障だ。2020年までに今社会問題になってきた介護離職ゼロも掲げられている。

政府の言う社会保障も低所得者の虐め政策に頼っていないか。介護、医療は60%を保険料、残りを国や地方が財政負担することになっているが、国が出来るのは高齢者の負担増、窓口負担を引き上げることだけだ。更に削減できるのは年金ぐらい。

税金を投入しなければ成り立たない医療、介護、子育て、貧困分野を成長戦略にすると財政的にやっていけるのか。必然的にうまくは行かない。

安倍総理はアベノミクスの第2ステージを言葉巧みに掲げるが、実効性をどう担保しているのか。達成時期を2020年にすれば自分の任期は2018年9月だから責任回避できるとでも思っているのか。


国民は本当にそうなって欲しいと思っている
同上
もっと実体経済に即した経済政策が必要ではないか。

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