2015年9月29日火曜日

大丈夫か日本経済:政府も日銀も「打つ手なし」が現状ではないのか

大丈夫なのか、日本経済。安倍総理は安保関連法で落ちた人気を復活させようと「旧3本の矢」には触れず「新3本の矢」を唐突に放ったが言葉だけの上っ面の政策で足元の経済を見ると経済成長すらマイナス成長で、日銀は見通しで強きの発言をするが政府、日銀共に実体は「打つ手なし」が現状ではないか。

私は起きると直ぐNHKラジオ第一を聞くことにしている。「マイあさラジオ」で6時半のラジオ体操の後、いろんな分野で専門家と電話インタビューのような企画がある。29日は経済の話だった。相手が誰かは聞き取れなかったが金融政策での日銀の打つ手も限界に来ていると言う内容だった。

要点は、(1)日銀は異次元の金融緩和で長期国債の買い入れをしているが既に発行国債の90%以上を買い入れ市場での取引が成り立たなくなっていること、(2)株式も年3兆円規模で買い入れ株高を維持しているが、これもすでに購買余力が無くなってきた、(3) 投資信託などで株価を支えること自体が疑問視されてきたこと、(4)国債を多く抱えることは日銀の資産を劣化させること、(5)アベノミクスの目的である経済がほとんど成長していないと言う5点を上げて日本経済を論じていたように思う(メモせず、記憶に頼って記述したので間違いもあるかもしれない)。

これらは以前から専門家の間ではよく言われていたことで新しいことではないが、政府、日銀ともに実体経済の足元を直視し経済政策の見直しが求められるのではないか。

国債も90%を日銀が購入しているということは政府の借金を肩代わりしている財政ファイナンスだ。この実体がばれると国債下落、長期金利上昇で企業はカネを借りにくくなり経済は停滞するとみられているがその兆しはまだない。

18日には、S&Pが日本国債をワンランク下げ中国、韓国以下で発展途上国並みのランクになったが、日本経済には今のところ影響は出ていない。そのランク下げの理由がここ2,3年で国債の信用力を回復させる可能性が低いという。消費税を10%に引き上げることも予定されているがそれでもPBの黒字化にはいたらない。

しかし、日本国債の下落は大きな影響が出てくる。多くを抱える日銀の資産が不良債権になり日銀の経営をはじめ大手銀行も経営難になるのだ。日銀は資本金1億円の株式会社(?)だが、特別な会計処理をしており政府と一体だから潰れることはないと言われている。 

だから日銀の政策運用に緊張感が欠けているように見えるのか。異次元の金融緩和では市場に予定の270兆円を超えるカネを流し継続中だ。

市中銀行からの国債を買い入れた金額は日銀の当座預金口座に入れられ、それに比例して銀行は企業にカネを貸すことができるが、麻生財務相が経済財政諮問会議で「そこから外にカネが流れないことに問題がある」と指摘したことがある。銀行が企業への貸し出しをしぶっているのではないか言っているのだ。

アベノミクスも当初は円安、株高に貢献し企業に成長感をもたらしたが、政府、日銀が目論む実質2%経済成長、2%消費者物価上昇達成も今のところ非常に怪しい。期待感を持っているのは日銀だけだ。

安倍政権は株価を政権評価の指標の一つにしているが適当な指標ではない。寧ろ我々の年金基金を25%まで投資できるようにし批判されているが、その年金基金からの投資も23%を越えすでに限度に近づいている。ギリシャをはじめ欧州経済、バブルが弾けた中国経済、ドイツのVWの排ガス不正問題で株価は停滞するのではないか。安倍政権の経済政策以外で変動するのだ。

15日の日銀政策決定会合後の黒田総裁の記者会見で「中国経済は政府の財政金融政策に支えられ安定した成長をたどる」というし、今後の物価上昇も「先々物価は上がる」と従来の日銀の予測を変えていない。

逆に市場は追加緩和への期待を匂わす。マイナス成長もあって追加緩和に踏み切るとの見方も多いのだ。ここにFRBの利上げも絡んで世界経済の減速も予想されているのだ。

しかし、打つ手がないと手をこまねいているわけにはいかない。

政府は3~5兆円の補正予算を組むことも考えられるが、先日麻生財務相は否定した。14年度補正、15年度予算でやれというのだ。法人税を下げろと言うから下げたが企業は内部留保で356兆円もため込んでいる。これからは「財政出動から民間出動」だろうと、企業が投資に意欲を出すべきだと麻生財務相は言うのだ。補正予算は=借金、赤字国債だ。 

安倍総理は安保関連法での支持率下落をアベノミクスの第2ステージと称して経済政策で目くらましをしようとしている。肝心の旧3本の矢の成長戦略もパッとしなかった。1本目の矢は飛んだが的の真ん中には当たらなかった。2本目の矢、3本目の矢は飛んだが途中で落下し的までいかなかった。
経済の好循環にために消費を上げ成長路線に持って行くには需要を喚起し企業の儲けを家計に再分配し経済の好循環を構築することだが、「何が儲かる事業なのか」、企業が悩んでいることかもしれない。

人口減はコミュニテイーを維持するのも困難になってくる。「新3本の矢」には出生率を1.8倍にし50年後も人口1億人を維持する政策「1億総活躍社会」が掲げられている。これ一つとっても裾野の広いテーマになる。担当大臣を新設してもアイデイアは官僚組織に頼らざるを得ず、新鮮みがあるのか。

今までの自民党、民主党政権で長くデフレ、円高、株安に悩まされ日本経済は停滞の時期だったが、3年前リフレ派が市場に多量のカネを流せば円高→円安、物価高になり日本経済は好転すると言う説に同感した安倍総理は日銀総裁まで更迭し「異次元の金融緩和」に打って出、3本の矢で経済政策を煽った。国民は3本の矢だから折れにくく成果も出てくるのではないかを淡い期待をもって安倍政権を支持した。

しかし、経済成長率名目3%、実質3%、消費者物価上昇率2%の2年での達成は難しくなってきた。大見得を切って2年で達成させると豪語した岩田副総裁、2年程度で達成とした黒田総裁も理由はどうあれ達成出来なかった責任を取って辞任すべきだろう。

安倍総理もいくらやっても良い政策は出てこない。任期も下落の一方で参院選では安保関連法の余波もあって自民党惨敗の予測が出ている。おまけに自公議員を落選させる運動まで出て来た。

体調不良、「燃え尽き症候群」で政権放り出し、たらい回しに出る可能性もある。石破さんはそこを狙って「石破派」を立ち上げたか。

いつも馬鹿を見るのは国民なのだが、こんな政権を生んだのも国民の責任だ。


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