2015年10月2日金曜日

GDP,600兆円目標:政府、日銀は実体経済を直視し国民とコミットを

政府は安保関連法成立後、政策の軸足を経済に移し「アベノミクスの第2ステージ」を掲げ強気の「GDP600兆円の矢」を放し、日銀は「経済は穏やかな回復基調」の判断から金融政策を続ける。

政府は新たに「GDP,600兆円」の目標を打ち出したが、達成年度は2020年だという。2020年までに誰が責任を持って達成を目指すのか。安倍総理の任期は後3年、とすると2018年までにGDPをどうするかを約束すべきではないのか。

2020年の政権は誰が担っているか分からないが、目標を掲げるのであれば道筋も示すべきだ。

政府、日銀共に強気で期待感を煽っているように思えるが、実体経済を直視し民間、経済界としっかりコミットし目標に進むべきで、民間が「そんな事出来るのか」と疑問視すれば目標達成は不可能だ。

ところで政府、日銀と民間の経済見通しに対する違いの要因はどこにあるのか。

今、GDPは490兆円、600兆円を目指すには名目3%、実質2%の経済成長が必要と言うが、ここ20年間一度も達成出来ていない数値を掲げ、「もうデフレではない」と言う。

ある意味物価は上がっているように見えるが、それは円安効果で輸入物価上昇による「経済の悪循環」の結果ではないのか。もう経済の好循環、悪循環の区別も付きにくくなっている。

日銀は、大企業、非製造業の業績判断指標が高水準であること、大企業、製造業の設備投資計画が前年度比18.9%増であることなどを理由に「内需はしっかりしている」と言うが、消費者物価指数、鉱工業生産指数、最近の株価を見ると下落傾向、GDPも2期連続でのマイナス成長が予測されているが、家計の消費支出は2日の発表では2.9%増、日銀は「穏やかな回復」と判断している。

一方で、民間エコノミスト、市場は一様に「先行き不安」を訴え、政府の補正予算、日銀に追加緩和を要求する始末だ。

ところが麻生財務相は先の記者会見で「補正を組むことは考えていない。14年度補正、15年度予算で上手くやって欲しい」と発言し、「財政出動より民間出動の番だ」と民間企業の投資を促した。法人税を下げろと言うから下げたが、企業の内部留保は356兆円になっているとも言う。

この前、260兆円と言っていたのだから100兆円も積み上がったことになる。

日銀の追加緩和も取りざたされているようだが、そんなに市場にカネを流してどうするというのだ。日銀が国債を買い支えているので長期金利も低水準を維持し、企業はカネを借りやすくなっているが、内部留保が大きいので借金してまで投資はしないだろう。

政府、日銀は強気で期待感を煽る経済見通しを持つのも政策推進者としては必要かもしれないが、実体経済に即し国民、市場、経済界とコミットした目標で責任を持って経済運営、金融政策を進めるべきではないのか。

2年で2%の物価上昇を約束して就任した岩田日銀副総裁、黒田総裁は15年度未達で16年度前半に達成時期が先送りされたが責任を取って辞任すべきだ。

本人達は言ったてまえ辞任したくても安倍政権は許さないだろう。今、辞任されるとアベノミクスは失敗に終わったと判断されることを嫌ってのことだ。

旧3本の矢は折れ、新3本の矢の一つがGDP600兆円を目指すという。民間エコノミスト、経済界が挙って疑問視するGDP600兆円の目標に安倍総理はどういう責任を取るのか。


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