2015年10月9日金曜日

グラフで見るGDP600兆円への道

図-3 名目GDPの推移
縦軸のGDPの数値幅の取り方によりグラフのイメージは
変わってくる この方がGDPの経過がよく分かるのでは
安倍政権が日本経済強化に向け2020年にGDP600兆円を目指すというが、その実現性は疑問視されている。そこで今までのGDP実績をグラフ化し推移を見てみた。

その根拠には、アベノミクスで3%の成長を続ければ2020年までにGDP594兆円になるが、それに6兆円追加すれば達成可能とみている。高い目標を掲げることにも意味があるのだろう。

読売新聞(2015.10.9)の「険しい「GDP600兆円」」に1995年からのGDPの推移(図-1)が掲げられているが、達成への道筋は見えないという。名目3%、実質2%の成長は現実離れしているというのだ。そして相次ぐ財政出動で国の借金は1057兆円にも達し先進国一悪い。経済成長の具体策が伴わなければGDP600兆円は絵に描いた餅になるという。

図-1 険しいGDP600兆円
読売新聞2015.10.9
掲げられたグラフ(図-1)は、縦軸にGDPで450~600兆円、横軸は年になっている。2015年からだけ見ても600兆円は遙かに遠い。

図-2 日本のGDP推移
世界経済のネタ帳
「世界経済のネタ帳」にも日本のGDPの推移(図-2)が掲げられている。縦軸にGDP0~600兆円、横軸は年、1980年から緩やかに拡大し1994年頃から500兆円前後で停滞し、2008年のリーマンショック以降下落、2013年頃から上昇傾向をたどっている感じだ。

やっぱりグラフは0からプロットした方がわかりやすい。ただGDPの幅をどう取るかでグラフのイメージが変わってくる。

そこで一番簡単で誰でも一度は書いてみるグラフにしてみた(図-3)。縦軸に0~600兆円を一目盛り20兆円、横軸に年を取った。

それによると、1980年から1990年代中頃まで拡大が続き、それ以降リーマンショックの前まで500兆円前後の停滞期が続く。リーマンショック後2012年まで下降し上昇に転じるように見えるがそれも500兆円だ。

2013年に日銀、政府は異次元の金融政策で思い切った量的緩和を続行しているためにGDPも上昇傾向にあるのかと思えるが、あれだけの量的緩和でもこの程度と見るとアベノミクスも大したことはないとも見える。
専門家の間では限定的だという見方がある。そう考えると2020年の600兆円は疑問が残る。高い目標を掲げ経済界、国民と目標を共有出来れば達成も可能ではないかと政権は見ているのか。

しかし、今まで法人税を下げろ、規制緩和をしろと要求ばかりしていた経済界も「自分たちは何をすれば良いのか」を提言することなく経済同友会代表幹事は「600兆円はあり得ない数値」と疑問を呈する。

経済界も安倍政権に異論を唱えだしたか。

赤字国債をドンドン発行し、中国のように公共部門に投資を増やし雇用を創出したり(バブルは弾けたが)、国土強靱化を御旗に公共事業を連発、対中国、安保関連法に関連して防衛費を増やすことでもやれば600兆円に近づくだろうが、国の借金は1060兆円になっている。G20でも厳しい財政基準を適用しているが、日本は猶予されている。しかしそれがいつまで続くか。

中国経済破綻で共産党一党支配の中国に構造改革を求めているように、我が国にも一層の構造改革が迫られる。

規制緩和、岩盤規制にドリルの刃となって穴を開けると豪語した安倍総理だが、選挙のことを考えると票田を失うことなど出来ない。特に憲法改正を目指す自民党にとっては票田を失いたくない。


高い目標を掲げ国民と共有することも戦術の一つだろうが、ここまで来ると実体経済を直視し「何をすべきか」「何が出来るか」を提案したほうが良いと思うのだが。

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