2015年11月8日日曜日

BPOが安倍政権を批判:右傾化する政権に誰がブレーキをかけるか

BPOが放送に関して安倍政権を批判したことは、右傾化を強める政権に一矢を放ったことになる。NHKクローズアップ現代の「やらせ」疑惑でBPOが「重大な倫理違反」と断定したことは当然として、これに関連し総務省の厳重注意、自民党がNHK幹部を呼んで説明させた行為は「放送の自由と自立に対する政権党の圧力」と厳しく批判したことに拍手を送る。

アベノミクスの成果に満足できない政権は何が何でも失地回復を狙い「官民対話」という手段に出て、「政権の意向を民間がしっかり受け止めよ」と圧力をかけるが、内容は面従腹背の様相を呈している。

家計の所得を増やし個人消費を上向かせ経済成長、物価上昇を企みたい政府は、経済界に「賃上げ」「設備投資」を要求した。経団連は参加企業に要請はするが逆に「規制緩和」を要求、他の経済団体も賃上げは労使交渉で決めるもの、設備投資は各社の判断で需要があれば投資はすると言うが国内は「需要不足」で海外投資は旺盛だ。人口減などもあり海外でのM&Aで活路を広げている。

安倍政権は法人税下げなどで生産施設の国内回帰、海外企業の日本進出で雇用の拡大も目指すが経営者は素直には政権の要望に応えられない。経営者の裁量を御旗に面従腹背だ。

アベノミクスの失政を隠そうと衆院選挙では、官邸スタッフが報道の公平、公正を訴えてメデイアに圧力をかけた。安倍総理自ら出演した報道番組で紹介した街角インタビューの結果がアベノミクス批判側だったので安倍総理は「違う」と噛みついた。そして今まで使ったこともない経済指標を掲げてアベノミクスの効果を説明した。

それ以降、メデイアの報道は変わってきた。厳しく政権を批判するコメンテーターは避けられ、どうでもよいコメントが横行した。今情報番組のコメンテーターは大幅に変わった。

文科省が文化系学部の縮小など改革を要求した。もっと成果の上がる理系学部を重用する政策を安倍政権は掲げたのだろうが、多くの大学が迷った。日本学術会議は反論したが、その後「誤解されている面がある」と方針転換を匂わせたが撤回する腹はないようだ。

国立大学でも地方大学との格差は大きくなり、地方大学は文科省の案に沿い特色を出そうと改革に取り組んでいるところもある。ところが、今回山梨大、埼玉大出身の2人がノーベル賞を受賞したことは地方大学の存在意義がある事を証明したようなものだ。特に大村先生の泥臭い程の研究は国民の頭に媚びりついているのではないか。

又、財務省は教員の大幅な削減を提案し、自民党が猛烈に反対している。少子化もあって削減したいのだろうが教育現場まで口出す政権に政権与党の反対は大きい。

更に、安保関連法にみる反立憲主義は安倍政権の右傾化のもっとたるものだ。 憲法改正のハードルが高いとみると閣議で解釈改憲をやってのける。憲法学者の6割は違憲と主張するが政権は何とも思っていない。「9条を守れ」「戦争反対」「安保法案反対」の国会前集会は学生、母親、年配者など年齢に関係なく、今まで行動を起こさなかった人までが「気が気でなく」参加したという。

憲法学者はこの動きを来夏の参院選まで持って行き、反立憲の自民党政権打破を目論む。

行政法学者も反対の動きを見せている。普天間基地問題で辺野古移設に反対する沖縄県の処置に反対し国が行政不服審査に訴えたが、法の本来の趣旨は民間と国との間の争いに対する救済策であって国を救済するものではないと行政法学者が立ち上がった。

学識者を含め安倍政権の政策に反対する運動が高まったが、国会の衆院で絶対多数の議席を確保する自民党政権にとっては「何をやっても怖くない」のだろう。異常な事態を経ての安保関連法案成立直後、安倍総理は別荘近くのゴルフ場で連日ゴルフを楽しむ姿は国民の顰蹙を買った。

政権与党の一翼を担う公明党も創価学会の意向もあって安倍政権の右傾化政策にブレーキをかけようとするが「政権から離れて良いのか」「政教分離?」と問われればトーンダウンする有様だ。

野党は見て通り野党再編、第三極構想なんて言っていられないほどのバラバラ常態で、元気なのは共産党だけだ。その共産党が安保関連法を廃止するために連合政府構想を打ち出すも民主党をはじめ協調は難しいようだ。保守系議員を掲げる政党の動きは鈍い。

安倍政権は参院選を不利とみると衆院との同日選挙を狙っている。選挙権が18歳まで引き下げられると増える240万票、20代、30代の若者の投票率が上がれば既存政党も安泰とは思えない。


最後に日本政治の右傾化にブレーキをかけるのは有権者の仕事だ。

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