2016年2月29日月曜日

安倍、黒田の異次元の金融緩和:「物価上昇率との相関関係なし」、では何のために

安倍総理、黒田総裁が鳴り物入りで始めた異次元の金融緩和策も黒田総裁は「物価上昇に直接関係はない」という、では何のための金融緩和策だったのか。出口戦略もなく限界説も言われる中で、「補完措置」「マイナス金利」と矢継ぎ早に打つ出す政策に打つ手なしの感が強い。

23日の財務金融委員会で民主党の玉木議員の「マネタリ-ベース増と物価上昇率の関係」を黒田総裁に質問したところ、「直接の関係はなく、物価上昇率が上がっていくものではない」と言う意味のアベノミクスの破たんともとれる発言をしていた。

就任当初の「2年、2倍、2%」と言う語呂の良いフリップでの説明は何だったのか。2年で市場に流すカネを2倍にし、2%物価安定目標を達成するという勇ましい量的質的金融緩和政策ではなかったか。

それが市場に流すカネは12年末の138兆円から安倍政権の今、365兆円に倍増したが、物価の方は一向に上がらない。誰だって失敗と判断するだろう。

しかし、黒田総裁は期待感が変わったとか、岩田副総裁は原油価格下落、中国をはじめ新興国の経済減速などをあげ言い訳する。

量的・質的金融緩和→低金利→設備投資→消費増→企業収益、家計へ再分配→税収増など経済の好循環を狙っていたが役に立たず「漏れ」が出ているのだろう。

土地や株のバブル、日銀当座預金残高増になり取り敢えずはそのうちの23兆円分に今回マイナス金利を付けて個人や企業への貸し付けを強要したのだろう。

その結果、市場は混乱、私たちの普通預金の金利は下がった。これを見て黒田総裁は「元々低金利だった」とシャーシャーしている。

29日にNHKが国会衆院予算委員会を中継することが分かったので、チャンネルを合わすと民主党の脇議員が「普通預金にもマイナス金利があるのか」と黒田総裁に問い詰めていた。黒田総裁は確か「先行する欧州ではそんな事例は出ていない」と応える。
更に脇議員は日銀、市中銀行の利息を決めるプロセスでの資料をフリップで示しながら質問を続けていた。

先行する欧州で普通預金のマイナス金利は出ていないと言うが、限りなく0に近づいた後はマイナス金利しかない。そうしないと銀行がやっていけないのだ。

日銀は出口戦略のことを考えず、60~70兆円から80兆円で量的緩和を継続中だ。そんなに市場にカネを流して何をしようとしているのかと疑うが、市場の期待感を煽るためにも2%物価目標を安定的に維持できる頃まで続けるのだろう。

出口戦略の「で」の字も言えないところに日銀の苦悩が見える。

午後の予算委員会で江田議員が「出口戦略」で質問していた。何のことかと聞いていたら、在日米軍の問題だ。自分が橋本総理の秘書官をしていたときの事を例に出し辺野古移設問題で揉めているが在日米軍についても出口戦略を考えていかなければならないのではないかと、沖縄高等裁判所那覇支部が辺野古移設問題で沖縄県と国の係争で2つの和解案を示したこと対する国の考えを問いただしていた。

確かに政策は始めるときは容易だが、止めるときの判断が難しいとよく言われる。異次元の金融緩和を縮小していく判断が求められるときに来ているのではないか。

ところが、2%の物価安定目標が未達のまま縮小に向かうことは黒田総裁、安倍総理が信を失うときだ。安倍総理は絶対避けるだろう。その時が官邸と日銀が袂を分かつ時だ。

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2016.2.26掲載
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yamotojapan.blogspot.jp/2016/02/2.html

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