2016年6月14日火曜日

舛添・都知事に見る:人気度、知名度頼りの候補者選びの失敗例

舛添・東京都知事の不祥事の対応から人気度、知名度に頼った候補者選びの失敗例が見えてくる。参院選の公示を前に自民党は比例区に人気度、知名度のある候補者を立て、得票数を上げて議席を獲得する姿勢がありありだ。自民党にとって候補者の政治への関心など二の次なのだ。

メデイアもメデイアだ。候補者の悪行が分かっているのにいいことばかり書いて、自民党候補者を後押しする。後に不祥事が出れば、「あの時こうだった」と今度は批判の側に回る

馬鹿を見るのは、自民党やメデイアに煽られた有権者だ。

今回の参院選での自民党比例区候補者を見るとやっぱり人気度、知名度に頼った候補者を上げている。親族や本人に不祥事が明るみに出て辞退する例も出て来たが、これはマシな方で疑惑を抱えたまま選挙戦に入る候補者もいる。

最近は政治家の質も落ちてきて各党も候補者捜しに苦労しているようだ。以前聞いた話だが「この人に出て欲しい」と話を持ちかけても「家族のことまであることないことを書かれるのはいやだ」と尻込みする人が多いと聞く。

東京都知事を考えてみよう。有権者数1000万人を超す。候補者は「われもわれも」が多く15人を超す乱戦模様を呈する。日本の首都の知事だから自民党に取ってはどうしても席が必要なのだ。泡沫候補は別としてトップ当選するには政策だけでは無理なのだ。

革新系が推した(?)憲法学者の美濃部さん、政治姿勢は「事業に対して1人でも反対するとその事業は止める」事を貫いたが、赤字をため込んだ。その後官僚出身の鈴木さんが知事になり赤字解消で都財政を立て直したかに見えたが後半は何やら問題を抱えたようだ。

青島さんは「いじわるばあさん」で人気を博した。都政も意地悪ばあさんよろしく切って捨てることを期待された。何か忘れたが前知事が掲げた事業に反対し支持をえた。参議員時代は選挙になると海外逃亡したが必ず当選する人気だったが、1期で退いた(?)。

石原さんは大物候補者としてメデイアが煽ったが他候補が名乗りを上げ政策討論が活発に行われていたのも係わらず後出しジャンケンでギリギリになって「裕次郎の兄の慎太郎です」と出馬表明した。ろくに政策論争に加わらないうちにトップ当選した。

排ガス規制、標準外課税、新東京銀行など政府がやれない政策を打ち出し信用を積み重ねて来たかに見えたが新東京銀行は経営が行き詰まり税金を投入する羽目になり批判を買った。批判が出てくるといろんな問題が明るみになった。

石原さんは週に12回しか登庁せず、都政は特別秘書の浜鍋という人が牛耳っていた。選挙の洗礼も受けていない人間が都政に口出ししていることが批判され、このときも総務委員会で審議されたが、石原さんは浜鍋さんの首を切った。

このとき、都知事は毎日登庁していない事が問題になった。近くの知事選では「私は毎日登庁する」と公約した候補者が出た。

多選を回避する為に石原さんは退き、神奈川県知事だった松沢さんを後任に推したが対抗馬の東国原さんに負けていることが分かり、松沢さんを引っ込めて自ら4選目(?)に挑戦、作家で日本道路公団の民営化に腕を振るった〔?〕猪瀬さんを副知事に迎えた。

その後、地方自治では国は良くならないと、国政に参加するために知事職を辞し猪瀬さんを後釜に推薦した。

メデイアは当選確実と猪瀬さんを煽ったが、本人はなかなか出馬表明しなかった。ギリギリで出馬表明しトップ当選を果たしたが、猪瀬さんには日本道路公団民営化で会長の今井さんを辞任させてまでワンマン振りを発揮、次々委員が辞任し残ったのは大宅さんという作家と2人切りになった。

それでも民営化会議ではテレビを入れてのパフォーマンス、官僚に何をやっているのかと追求する姿がテレビニュースで画面に出た。

道路公団の民営化も経営効率を図り幾つかの会社に分断したが、それぞれに経営陣が着くので全体を考えると効率化どころではない。SAは新規アイでイアで繁盛しているが、トンネル事故などを考えると安全は二の次になっているのか。

猪瀬さんも思わぬところでつまずいた。徳州会から5000万円を借りていたというのだ。生活費と言ってみたり政治資金と疑われたり、総務委員会にかけられ持ってきた鞄に5000万円札束に似せた箱をねじ込む姿は哀れだった。

百条委員会にかけることが決まった時に辞任を発表した。後になって借用書は本物と言っていたが、素人が見ても本物とは言いにくいものだった。

その猪瀬さんが舛添さんの疑惑でコメントしているのだから滑稽だ。

猪瀬さんの辞任を受けての舛添さんの出馬だ。これもなかなか決まらない。舛添さんは自民党本部を歩いている。厚生労働相をやって人気が出て来たのか次の総理候補とまでメデイアははやした。有頂天になった舛添さんは次期総裁への道を探ったのだろうが、うまく行かず、「自民党に明日はない」と飛び出し、自民党を除名された。

そんな舛添さんが自民党との関係を修復しているようだった。自民党としても人気度、知名度のある舛添さんを推薦して首都の知事の座を得ようとしたことはわかる。その当時から舛添さんの数々の不祥事は政界の間では分かっていたことだ。

そして狙い通り211万票を得てトップ当選したが、強力な都知事の権限をバックに傲慢な政治姿勢を遂行した。それが以前からの「政治とカネ」の問題も絡んで今回のスキャンダルの要因になっている。

おまけに我が物顔の都政だ。2人の秘書を特別職にし、1人は都庁、1人は自分の事務所などで勤務させていたというのだ。何故か石原さんの時と似ている。

どうして東京都知事はこんなことが出来るのか。

国から交付金を受けていない金満な都財政、7兆円を超える予算、絶大な都知事の権限は「お山の大将」だ。そうでなくても自分には人気があると誤解しているので自分はさらに偉くなったと錯覚を掻き立てる。

既に次の候補者がテレビで上げられている。みな知名度があり、カネにクリーン、やらしたら面白そうと言うのが理由だ。

「ふざけるな」と言いたい。そんな事を考えているから都知事選びに失敗するのだ。


都知事選びの失敗は他でもない有権者の判断の誤りなのだ。

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