2016年6月4日土曜日

自民の参院選公約:安定財源の当てのない政策に期待し1票投じるか

安倍政権の参院選公約が発表されたが消費税増税延期で財源の手当が出来ない政策に期待して1票投じるか。「この道は何時か来た道」と感じる。「そうだよ 民主党政権の時だよ」と。あの時はマニフェスト全盛期、各政党は達成時期、財源まで明確に表示しなければいけなかった。

「政権交代してみませんか」の風に乗って民主党政権に交代した。民主党は財源の確保は後回しで公約を発表したため、財源不足での政策の行き詰まりが直ぐ出て来た。国民の気をひくために大々的に「事業仕分け」をやってみたが、結果は財務省の事業仕分けに乗っかっていた。

小泉内閣の時の塩川財務相が「母屋でおかゆをすすっているのに、離れでは子どもがすき焼きを食べている」と揶揄したように特別会計には無駄が多いのではないかと国民は疑った。

私も10%位、少なくとも5%位は無駄の摘出が出来ると思っていたが、財務省の抵抗は強い。あまり使う機会のない特別会計でも取り崩しには抵抗された。いざというときに使えないと言うのだが役所の利権が大きく関わっていたようだ。

財源の確保の出来ない政策が行きづまるのは早かった。民主党政権は信頼をなくしていった。

日本経済再生のために安倍政権は財政出動と財政再建の二本立てを取っているが「1億総活躍社会」推進など消費税増税再延期の方針もあって財源確保も覚束ない政策の乱立気味で「この道は何時か来た道」と、民主党政権時を思い出させた。

政権内の意見も対立した。経済財政諮問会議でも麻生財務相が「財源は赤字国債で賄わないということか」と念を押したが、石原さんや安倍総裁は「そういうことではない」と言う。

以前の経済財政諮問会議でも少子化対策の財源として民間議員が「アベノミクスの成果」を使うことを主張したとき、麻生さんは「アベノミクスの成果は中長期計画に織り込み済みで、別途安定財源を見つけろ」と反対していた。
安倍政権は参院選対策でいろんな政策を提言しているが、まずは「アベノミクスの評価」を検証すべきだ。安倍政権の「アベノミクスの成果」一辺倒の考えで政策を論じては国民を裏切ることになる。

野党との政策にもその差は縮まっている。消費税増税延期は民進党も同じだが財源を赤字国債で賄うと言うが、自民党はアベノミクスの成果と歳出改革で賄うというのだ。赤字国債に言及しないところに争点隠しが見える。

そのアベノミクスの成果がよく分からない。津々浦々まで成果が行き届いていない。政権が言う経済指標の好転も実感として涌いてこないのだ。

でも税収増は確かなようだ。2016年度予算でも税収は57.6兆円を予定している。安倍政権発足当時に比べても15兆円は増加したというのだ。それをどの程度「底上げ」とみて財政出動に回せるかと言うことなのだろう。

しかし、結論は出ていない。経済情勢によっては変動が大きいのだろう。企業は儲かっていると言うが為替による円換算でのメリットが大きいようだ。輸出だって金額は伸びているが数量は伸びていない。その原因は現地で値引きをやっていないためだというレポートもある。

そう考えると税収増も過度の期待は危ない。

ところで安倍自民党の参院選選挙公約を見てみよう。争点隠し、争点ぼかしも見抜かなければならない。

GDP600兆円を目指すという。成長戦略と骨太の方針のエンジンをふかせというのだ。でもその燃料は財源だ。消費税増税延期で税収も減るが赤字国債は極力控えるという方針らしい。逆に成長路線に乗り税収増も考えられるがその可能性は?

保育の受け皿を50万人分増やすという。そのためには保育士さんの待遇改善が先決になる。増税延期で危ぶまれたが、自民党幹事長の谷垣さんは選挙戦が始まって早々に保育推進連盟を訪問し改善を確約したという。

消費税10%への増税を2019年10月まで先送りする。アベノミクスが成果を上げているのであれば先送りなど必要無いだろうと野党は「アベノミクスの失敗」と追求する。問題は2019年には本当に増税できる経済環境になっているのか。今しか増税のチャンスはないのではないか。臨時国会でしっかり議論して欲しいが安倍政権は「アベノミクスの失敗」を追求されることを嫌がっている。

赤字国債に頼らず社会保障を充実するとも言う。ここが民主党との政策の違いだが、年間1兆円も増え続ける社会保障費を何で賄うか。安倍総理は記者会見で「全て出来るわけではない」と「我慢しろ」と言い放ったはずだ。弱者に負担を強いながら富裕層、大企業に甘い減税政策には反対だ。

今、ブラジルではオリンピックを控えて反政府デモが勃発しているが、2020年には日本でも「オリンピックより社会保障を」との訴えが増えてくるかもしれない。巨額な無駄金の出費はごめんだ。更にはオリンピック後まで負担が続くことになる。

2020年度のPB黒字化をまた掲げた。各政権が自分の時には関係ないと言って無責任にも政策を継続している。1050兆円の国、地方あわせた借金は対GDP200%を越えている。国会でも野党議員が追求するが多額の債権もあり純債務はそんなの大きくはないとの反論もある。

しかし、クルーグマン教授などは借金を気にせず、ここは財政出動だという。でも実際に政治を担っている政治家は財政規律も重要とみているのでクルーグマン教授の主張には乗れない。

同一労働同一賃金の実現は民主党も同じだ。政権は雇用者数も改善していると言うが非正規労働者数の増加であって質的には改善しているとは思えない。

憲法改正もあれだけ強調していた安倍総理が何故今、トーンダウンしているのか。憲法審査会で議論を進めると言い出した。憲法改正を狙って参議院でも発議できる2/3議席獲得出来る戦術を練っていたのではないか。国会審議でも自民党案には拘らないとも言っていた。

争点隠しの代表例で選挙では争点をぼかし、選挙後一転攻勢をかける可能性もある。

安倍総理の甘い言葉に乗ってはいけない。スムーズに推進できる政策は1つとしてないのだ。誤魔化されて1票入れるより納得して1票入れるべきだ。


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