2016年8月23日火曜日

今日の新聞を読んで(21):問い直されるオリンピック開催か

テレビをつければオリンピック競技、実況中継の騒々しい画面も消え、静かさを取り戻した格好だが、今ほどオリンピック開催が問い直されていることはないだろう。

そして今回ほどオリンピックのイメージをそこなう事も多かった。政府に対する抗議デモの多発、政情不安、そしてテロ、資金難による工事の遅れ、更にはロシアのドーピング問題、IOC委員の入場券の闇販売で逮捕事件と事欠かない。

そんな他人事ばかりではない。次期開催都市が「tokyo」に決まりどんちゃん騒ぎをした会場の雰囲気は一変、新国立競技場、新エンブレムの再検討は大会意義の欠如、費用のどんぶり勘定と大きな疑惑を招いた。それでも組織委員会、文科省の担当者は誰も責任を取らず、利権に絡んだ椅子に座り続けている。

どの大会でも共通しているのは開催費用の高騰、後利用を考えた財政負担の大きさだ。

バルセロナ、アテネオリンピックの開催後、財政難に苦しんでいる。ギリシャは世界経済にも影響得を及ぼし財政援助では国民投票をするなど混乱している。

東京オリンピック・パラリンピックでもコンパクトな開催が標榜されていたが、費用は当初7500億円だったのが今は、2~3兆円と言われている。計画段階では高い費用を批判されるのを恐れて低めの金額を提示したらしい。いざ、やるとなるとそんな金額では出来ないのだ。

ボストンなどは高騰する開催費用に絶えきれず、開催を回避する動きが出て来た。新興国の危なさを考えればオリンピック開催都市が出てこないことも考えられる。

オリンピック開催の意義が見いだせなくなってきたのだ。以前は「国威発揚」が第一だったし、オリンピック開催を名目に都市開発をする傾向が強かった。今回の東京開催も湾岸地域の開発行為が絡んでいる。だから組織委員会は東京都に応分の負担を要求するが、小池知事の「都政改革本部」がその適正を検証するという。
組織委員会もコスト削減に取り組まなければ都民、国民の賛同は得られない。逆に組織委員会が入る事務所の高い賃料がメデイアや若狭さんから指摘されている。年間5億円とも言う。

一方で参考になる事もあったらしい。

施設が簡素化されているというのだ。資金難で工夫されたのだろうが、ドンドンアイデイアを組み入れて高騰する建設費に警鐘を鳴らすが、国の技術を海外にPRしたい者にとっては気が緩む。

テロの危険が予測されていたために比較的時間を掛けてマラソン競技を見た。どんな対策をしているか知りたかったためだ。10kmの周回コースを採用したことは警備や交通規制には有効だったようだ。日本のように白バイが先導し大会主催者、報道陣の車が伴走する姿はなく簡素な運営のように見えた。

日本人選手では16位が最高位だったが、本人は「満足していない」という。確かに日本国内で開催される国際大会ではタイム的には3位に入れただろうが世界中から集まるオリンピックでは強豪選手は多い。マラソンも一時は日本が優位な立場にあったが、今はそうでもないようだ。

そういうことを考えると、柔道は見物だった。先のオリンピックでメダルゼロから今回は大奮闘だ。敗因を検証し世界の格闘技と闘う必要があることが分かり練習法を考え直した結果だとメデイアは報道するし、井上監督も泣いていた。

正々堂々と技で闘っていては世界に勝てないのだ。

2020年の東京オリンピック、パラリンピックを考えると余りにも課題が多すぎる。

高騰する開催費用、施設の後利用が財政難になる危険、8m圏内のコンパクト開催が可能なのか、渋滞が心配される交通網、批判が多い組織委員会のあり方、国威発揚を目的にしていたら大変なことになるのだ。

国民の最大の関心事は「フラッグハンドオーバーセレモニー」だっただろう。舛添さんが最後まで拘っていたイベントだ。渋谷の交差点のスクリーンに大写ししたいとも言っていた。
「おもてなし」のために和服姿で登場した小池さんでは似合わなかったようだ。新聞の取り扱いも小さい。

日本を紹介するショーでは、ドラえもん、キャプテン翼、CG等が駆使されていたが、驚いたのは安倍総理がスーパーマリオブラザーズの「マリオ」の姿で登場したことだ。当然に賛否両論だ。

サプライ演出だったようだが、武藤さんが記者会見で「森さんから安倍さんに話しかけた」結果なのだそうだ。対小池都知事で不利な立場にある組織委員会が安倍総理にゴマをすったと言うことか。

あと4年、どうまとめていくのか。トップで責任を取る立場にあるのは誰なのか。それがはっきりしなければ国民の賛同は得られない。

そしてオリンピックは衰退の道にある。無理な国威発祥は間違っているし、利権の横行はさらにオリンピックを否定することになる。




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