2017年2月17日金曜日

グローバリゼーションの是非:反グローバルの修正か、視点を変えるか

グローバリゼーションは今後どうすれば良いのか、「反グローバルの修正」か、「視点を変える」か、その是非を問う論文、提言が続くが悩ましい問題である。

「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプ大統領の登場で保護主義、反グローバルの動きが加速してきた。英のEU離脱、欧州各国の「自国第一」とする右翼政党の台頭に拍車がかかる。最後はリベラルが勝つだろうとみているがアメリカのことを考えるとそうとは限らないだろう。

私も英国のEU離脱、共和党の泡沫候補だったトランプさんが勝つのではないかという事は予想していた。ステイグリッツ教授の「これから始まる「新しい世界経済」の教科書」徳間書店 2016.2)を読んで、中流層が活躍出来る活性化した社会を構築するために経済、政治、司法の制度を変えていかなければならない時に来ていることを知っていたからだ。

更に2012年に出版された2冊の本を読み返してみた。

1冊目の「2050年の世界」英「エコノミスト」誌は予測する」では、グローバリゼーションは、どれほど反発を受けようと今後数十年間後戻りすることはない。グローバリゼーションは、アジアが世界経済の支配的勢力に返り咲くのと同時に進むと言うのだ。

そしてエコノミスト誌グループのシンクタンクは3つのグローバリゼーションのシナリオを掲げている。1つは「コントロールされたグローバリゼーション」、2つ目は、「後戻りするグローバリゼーション」、3つ目は「凋落したグローバリゼーション」だ。

まとめとして、「コントロールされたグローバリゼーション」を考えている。政府は一定の規制をかけるが市場は開かれている経済だ。

2冊目は柴山桂太さんの「「静かなる大恐慌」、集英社新書 2012.9」だ。柴山さんも「グローバル化の3つのシナリオ」を上げている。

それによると、①「グローバル化」と「国家主権」を選択し「「民主政治」を犠牲にする、②「グローバル化」と「民主政治」を選択して「国家主権」を犠牲にする、③「国家主権」と「民主政治」を選択肢、「グローバル化」を犠牲にするだが、これから始まるグローバリゼーションへのバックラッシュの中で、いかにグローバル化路線を各国レベルで修正していくか、それが問われる歴史の局面が始まろうとしていると警告している。

全く同感だ。そして柴山さんは独自の見方をしている。是非、この本を買って読んでほしい。

柴山さんが言うには、グローバル経済は10年周期で大きな危機を繰り返している。例を挙げると、1987年ブラックマンデー、1997年アジア通貨危機、2007年サブプライム危機、2008年のリーマンショックだ。

そして「2017年はどうなるか」と問うている。

英国のEU離脱、欧州の右翼政党の台頭、アメリカの保護主義者トランプ大統領の出現。グローバリゼーションの修正局面で何かありそうだ。

一方で、17日朝のNHKラジオで田中直樹さんの「世界の見方 反グローバルは本当か」が反グローバルの潮流が見られるが、「そうかな」と思う。地球温暖化、地球汚染、食糧問題などは全世界的に取り組まなければならない。投資、技術的取り組みなどはグローバリゼーションが必要なのだという。

視点を変えるためにもメデイアの役目は大きいと指摘する。

いずれにせよ格差拡大で国内、国外共に不満は高まっている。これからは公正、公平、安心がキーワードになる事は確かだ。


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