2017年4月18日火曜日

諫早開門差し止め判決を考える;自然に逆らう国家事業の愚かさを暴露か

1997年 諫早湾締め切り
毎日新聞 2017.4.18 電子版写真特集
これまでの一連の諫早湾干拓事業での潮受け堤防の開門の是非をめぐっての相反する裁判所の判断を見るにつけ、自然に逆らう国家事業の愚かさをさらけ出したことになる。

20年前、農産物増産を目指して諫早湾を堰止めして農地を確保する干拓事業も漁業者から漁場環境の悪化を理由に反対されていた。しかし国は古い計画案を見直すこともなく事業を強行し、現在の営農者vs魚業者の対立構図が続く事になった。

国営諫早干拓事業は、20年前7kmに渡り堤防を築き670haの農地を確保するためにギロチンカッター状の鋼板を水しぶきを上げながら落としていった光景は今も覚えている。

営農者は初期の目標を達成出来ただろうが、魚業者は淡水の流入が止められたために漁場の水質が悪化し支障を来すようになった。この点について国は十分な説明をせず問題ないことを主張していたはずだ。

締め切った門を再び開き漁場の水質が改善するかどうかを確認しようと裁判を起こした。一方、営農者は折角事業も軌道に乗ったというのに「今更何で開門か」と反対していた。

国の無理押しがこの結果を招いたのだ。

開門反対派は長崎地裁の「開門差し止め」請求で「差し止めの仮処分」が決定「閉門」が決まった。一方、開門賛成派は佐賀地裁に開門請求、「開門を命じる」判決が出たが当時の政府は上告をせず福岡高裁で確定したという。

そのために「開門を命じる」判決と「差し止めを命じる(閉門)」判決とが共存する事態になった。

一方で別の開門請求が長崎地裁に出され長崎地裁は「認めない」、福岡高裁も「認めない」としたために今、最高裁で審理中だと言う。

ダム建設などでこじれる公共事業はあるが、これほど大きく食い違う裁判所の判断も珍しい。「開門」を嫌がる国の主張も説得力が無くなってきている。


私は自然擁護派だが、「自然に逆らった事業は避けるべし」を教訓にすべきだ。

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