2017年4月29日土曜日

変貌する川原湯温泉:ダム本体工事、移転先の現場を行く

八ッ場ダム本体工事現場 やんば見放台より
2017.4.27撮影
川原湯温泉がどう変わってきたか、7年ぶりに現地を訪れダム本体工事や住民や温泉旅館の移転先の現状を見ようと27日、川原湯に行ってきた。高崎方面から国道145号を新しくできたバイパスの長いトンネルを過ぎるとダム建設工事現場が見下ろせる「やんば見放台」についた。

旧瀧見橋の下流の吾妻川の川幅が狭い場所に本体工事が始まっていた。既に岩盤に食い込ませる部分は終わっていた。巨大な工事のために生コンは現場で製造されバケットで運ばれていた。河川水は既に設置されていた仮排水トンネルで下流に放流されている。

この辺の両岸の岩盤は大丈夫だろうか。脆いことで有名なのだが。

移転先に川原畑地区 遠方の小高いところに
1番早く移転してきた神社が見える
そして移転先である川原畑地区に出た。以前は新しい民家の建築が目立ったが今はない。余り住宅も増えていないようだ。長い工事期間で見通しも立たなかったために水没地区の住民も他へ移ったのだろうか。

川原畑地区の移転先が造成されるとすぐに神社が移転してきた。むこうの小高いところに建って新天地を見下ろしている。

この付近にはトンネルも多いが取り付け道路もなかったために旧国道からインクラインで建設機器、建設資材を担ぎ上げトンネルや橋の建設が始まった。土木技術は凄いと当時感心したものだ。

橋を渡って川原湯地区に入った。この橋は今は「八ッ場大橋」と言うが、工事中は湖面1号橋と言っていた。旧川原湯温泉駅の近くにわらぶき屋根の食事処があった。当時「移転するんですか」と聞くと「まだよく分かりません。計画も出来ていない、ここには橋脚が建つ予定なんです」と言っていたが、移転先にそれらしい食事処はなかったので再建は諦めたのか。

以前は打越地区と呼んでいたはずの移転先川原湯地区
以前は打越地区と言っていたはずの移転先に来た。目新しい住居はなく、既に移転は終わっているのか。でも川原湯地区に入ると旅館、店、共同浴場の玉湯などが散在している。丸木屋旅館、山木館など有名な旅館が新築されているが昔の面影はない新しいセンスの宿だ。

山木館
こんな工事中の温泉地に来てくつろぐ温泉客がいるのか。遊ぶところもない。近くには草津温泉もある。川原湯温泉を選ぶ理由がないと思うのだが。

そういうこともあってかダム見学、説明会に参加し川原湯温泉に宿泊する団体客には1人当たり3000円の宿泊費が助成されることになっている。

以前は世界に八ッ場ダム建設の情報を発信していた「お福」も健在だ。

以前は八ッ場ダム建設の情報を世界に発信していた
「お福」の移転先
何しろ何処に何があり、道路はどうなっているかなど分かりにくい。大きなアパートのような建物が目立ったが、これは工事中の作業員の宿舎らしい。ダム建設は平成31年に終わるので宿舎を取っ払うとどうなるのか。

移転新地記されたHR川原湯温泉駅
新築されたJR川原湯温泉駅に行ってみた。ドアが開くとチャイムは鳴るが駅員は出てこない。1時間に1本の列車だから他の時間帯は大体が観光客だ。駅員も慣れたものだ。観光客は「誰もいないや」、「何もないや」とがっかりして帰って行くようだ。

あちこち郵便屋さんが走り回っている。「散在しているので大変ですね」というとニッコり笑った。

山際を見ると砂防ダムが目立つ
山際を見ると、砂防ダムが目立つ。今も建設中だ。崩れた箇所も目立つ。この辺の地形は岩屑が流れ下って比較的平坦な地を作った地形で地盤は脆くダムを造って水をためると地割れが生じ、ダム建設には不向きだと主張している高校の先生がいる。

思い出すのは奈良県の川上村で同じようなことが専門家から指摘されていたが国か村か知らないが建設を強行し水をため始めたら、ダムの底で水漏れが有り水は貯まらず、斜面に建つ民家は地割れで避難する騒ぎになった例がある。

八ッ場ダムも危険をはらんでいる。

又、水需要も50年前とは状況が違ってきて、不要だという意見が多い。

八ッ場ダムは二つの反対運動を経験した。1つは根本的に建設反対運動だが、もう1つは建設推進のための反対運動だ。民主党の鳩山内閣の時「コンクリートから人へ」と八ッ場ダム建設を中止する決定がされた。そこでこれまで進めてきたのだから今中止されては困ると「中止反対運動」だ。

旧川原湯温泉地の食堂で食事したとき、店の人に「今、反対運動はどうなっているんですか」と問うた時、「どっちの反対運動ですか」と聞き直されたことがあった。


いろんな問題を抱える公共事業だ。ダム本体工事終了後も安心は出来ない。その後が本当の事業の成否を握っているのだ。

JR川原湯温泉駅から不動大橋を見る
この橋は湖面2号橋として中央でドッキング
する映像がテレビや新聞で賑わしたことがある

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