2017年10月10日火曜日

今日の新聞を読んで(108):富士山噴火、首都直下地震より被害甚大か

富士山噴火 襲う火山灰
朝日新聞2017.10.8 「科学の扉」
防災の日となると首都直下地震対策が話題になるが、忘れてはいけないのが富士山大噴火の可能性だ。広範囲での火山灰降灰による被害は首都直下地震より甚大と思っていたが、政府が噴火に備えて対策指針を新たにに作る方針を固めたという。

1707年の宝永噴火と同規模の噴火があれば交通機関などの麻痺により25000億円の経済被害が出ると2002年に推定されていたが、都心南部直下地震では953000億円と言うから直下地震の方が被害が大きいようだ。

屋根に積り雨でも降れば30cmで家屋倒壊、河川に流れ込めば洪水の危険、飲料水に障害が出るし、鉄道などのシステム障害、航空機エンジンへの障害、送電設備、電子機器も甚大な被害を及ぼす。

また呼吸器疾患など人的被害は甚大だろう。ゴーグル、防塵マスクの常備が必要になる。

降灰を集めてどう処理するか。田んぼ、畑に積もれば作物は作れず、数年は放棄しなければならない。東北地方太平洋沖地震、大津波による福島第一原発事故がダブって見える。

ところで富士山噴火は最近では1707年の宝永大噴火以来噴火していない。東北地方太平洋沖地震が富士山にも影響及ぼし噴火が心配された。その後の検証で噴火してもおかしくなかったが噴火の条件が整わなかったのだろうとみられている。

先の箱根山の小噴火は富士山にも影響を及ぼすと考えられていたが、富士山噴火と箱根山噴火は密な関係はなさそうだ。

富士山の噴火は781年(天応元年)の噴火が「続日本紀」に書かれて以来数多くの噴火、異常が繰り替えされている。800年(延暦19年)、802,826,853,858,859年(貞観元年)、846,865,870,932,937,952,993,999,1017,1020~1059,1033,1083,1252~1266,1331,1338~1358,1427,1511,1560,1627,1700年(元禄13年)、1703年(元禄16年)、1707年(宝永4年)、1708,1709,1825,1987年(昭和62年)
の各年が記録に残っている(「火山災害の研究」損害保険料率算定会平成99月)。

このうち1703年の噴火では前兆として大地震、元禄地震M7.9~8.2があったし、17071028日の噴火ではその前に大地震M8.6 M4~5が頻発し後49日後に発生していた。こういったことから大地震と噴火の関係が重要視されるようになったのだろう。

更に宝永噴火での東京(江戸)の状況が記されている。

17071028日 噴火の前兆 大地震
1116日 地震頻発  
   6時 強い地震
   8時  噴火開始、白い灰、軽石
  13時  江戸で白い灰降り出す
  16時  黒雲で覆われる
  18時  雷 夜黒い砂 5~7mm
  22時  晴れる 夜半月が出る

  その後も地震、噴火相次ぐ
       雷鳴、強い振動、黒い砂
170811
      噴火が終息

これによると、噴火から東京に灰は降るまでに5時間かかっているが、藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所所長は「富士山噴火から都心に灰が降り始めるまで約2時間かかる」と予測している。

富士山が噴火したら2時間以内に大事な防災対策を実施するよう平素から対応しておく必要があるだろう。

歴史を紐解き対応を怠ってはならない。



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