2018年4月15日日曜日

トランプ貿易戦争:クルーグマン教授曰く「クズ経済学と振り回しの術」と


朝日新聞 2018.4.14
トランプ大統領の中国に対する高関税強硬にクルーグマン教授は「クズ経済学」と「振り回しの術」と言いクルーグマンコラムで対中国との不均衡貿易に疑問を投げかけた。

対中、対日貿易の収支は米国が赤字であることは確か、トランプ大統領は安全保障と言うことで収支改善に鉄鋼、アルミに25%の高関税をかけ、衰退している米国内産業を活性化させ、ラストベルト地帯の雇用の創出で大統領選での公約を守ろうとしている。

中国に対する貿易赤字は5000億ドル(実際は3400億ドル)でトランプ大統領は米国の利益(?)を盗んでいると言うのだが、これはいわば「クズ経済学」の言い訳だという。

トランプ大統領はいままでのアメリカ大統領と違ってツイッターを重用し重要な外交政策などで脅しをかけている。

鉄鋼、アルミに関税をかけると脅せば中国はすかさず報復関税をかけるという。市場は反応し株価が大きく下落すると米国の閣僚が「検討中で水面下で交渉」という。株価は戻るがトランプ大統領は弱腰と見られるのを嫌い更なる脅しをぶっかける。

こういったことをクルーグマン教授は「振り回しの術」と呼ぼうという。

クルーグマン教授は5000億ドルの貿易赤字と言うが、大事な事は中国は大幅な貿易黒字を抱えていないというのだ。中国の黒字は10年前は対GDP比9%だったが、2017年には1.4%まで下がっている。一方米国の経常収支の赤字は対GDP比2.4%で2000年代半ばより大幅に改善しているのだという。

中国の貿易資料をどの程度信用して良いのか分からないが、10年前と今の中国のGDPは大きく違っているのではないか。だから対GDP比が下がっているのは当たり前ではないか。

読売新聞(2018.4.14)によると中国の対米貿易黒字は19.4%増という。1~3月の貿易統計で前年同期比19.4%増の582億ドル(約6兆2000億円)で、米国が批判を強めるだろうと予測している。3月単月の貿易収支は40億ドルの赤字だが、1~3月期をみると貿易収支は483億ドルの黒字なのだ。

数字の上からはトランプ大統領は怒るだろう。

でもクルーグマン教授は間違っているというのだ。中国は「加工貿易国」なのだ。日本や韓国から高品質の部品を輸入し加工して消費者商品にして米国に輸出している加工/組み立てで工賃を稼いでいるのだそうだ。貿易不均衡は統計上の錯覚という。本当は別の国で作られているのだという。

だから中国に、その役割を放棄せよと要求すべきなのかどうか分からないとも言う。

ところがトランプ大統領の高関税策も米国内でおおきな問題を抱えている。

米国は600億ドル(約6.3兆円)の輸入品に関税をかけるし、知的財産侵害に対しても制裁処置を考えているようだが、中国も負けてはいない。報復措置として、大豆、自動車、航空機など128品目に最大25%の関税を課すと発表した。

米国の対中輸出規模で言うと大豆139億ドル、自動車127億ドル、航空機131億ドルが対象になるのだ。

一方米国だって不利になる。大豆はファームベルト、航空機、自動車はラストベルト、いずれもトランプ大統領の支持基盤に大きく影響する。安い日常品に関税をかけると物価高、米国の企業が参入するとどうなるのか。

ツイッターで脅してみたが、よく考えるとアメリカにも不利だと言う事が分かり水面下で妥協点を探ることになるのか。

又、対中国を考えて反対していた日本主導、米国抜きのTPPに条件が良ければ参入を考えているという。

何処までトランプ大統領に「振り回されれば良いのか」。米国には中国しか文句が言えないのだ。米国債の所有は世界1位、GDPも世界第2位、2030年にはトップに躍り出てIMFの本部が北京に移る可能性を専務理事が発言していた。

今、経済成長率6.5%以上を目標に出来るのは中国だけだ。リーマンショック後の世界経済を主導したのも中国だ。一帯一路で世界戦略を描いているが国家財政は大丈夫なのか。

GDP値すら信用できないという専門家もいるが政権が変わって財政を精査したらギリシャのように超債務国だったと言うことにならないか。

中国はあらゆる面で警戒しなければならない国だが、トランプ大統領の「振り回し」にも気をつけよう。メデイアが大統領のツイッターを垂れ流しすることを危惧する。

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