2018年4月17日火曜日

安倍政権下で進む行政の質の劣化


最近のニュ-スを見る度に安倍政権下での行政の質の劣化が疑われる。何故こんな状況になってしまったのか。安倍総理は一連の事件で「行政のトップである私に最終的責任はある」と不祥事の責任を認めるが、これと言った対策、引責辞任はなく、あるのは関係者の尻尾切りと臭い物には蓋的発想しかない。

どうしてこんな安倍総理が政権放り出しの失点がありながら再登板できたのか。

きっかけは石破さんと争った自民党総裁選だろう。予備選では圧倒的に石破さんが優位でトップ、続く本選で安倍さんがトップになり石破さんが敗れた。永田町では石破さんは人気がないなど理由は挙げられた。

最も大きい理由は安倍さんのお友達議員による担ぎ出しだろう。第1次内閣で十分に甘い汁を吸うことが出来なかった連中が夢を再びで応援した。岸家、安倍家を次ぐ家系は本人の能力とは別に大きな財産になっただろう。

安倍晋三さんに政治家倫理、道徳観がなくても保守本流(?)としての人脈は活かせる。

それに加えて、円高、株安で長期のデフレから脱出出来なかった日本経済の再生に非伝統的金融政策である異次元の量的緩和策(リフレ経済)を紹介され今までの政策とは違ったやり方で日本経済に活を入れようとしたリフレ派を重用し市場も期待感から円安、株高に転じ安倍総理は大きな信用を勝ちとったのだ。エール大名誉教授で世界的にも評価されている浜田名誉教授の推薦もありリフレ派は勢いづいた。

今まで緩和な量的緩和を進めていた当時の日銀総裁である白川さんを黒田さんにすげ替えた。自分の政策を運用するためには人事にまで介入する乱暴な行為の始まりだった。黒田さんがリフレ派かどうかは分からないが、この男ならやらせるとみたのだろう。

気をよくした安倍総理はお友達、安倍人脈を重用し内閣人事局の設置も相まって勝手気ままな政局運営を進める事になった。

ところが今になって数々の不祥事が発覚し国の行政の質の劣化が明らかになってきた。

森友・加計問題では中央官庁の官僚も加わっての安倍総理の友人に利益を供与する暴挙に出た。安倍総理が関与していることで官僚の忖度が働く結果、公文書改ざんで安倍総理を守ろうとしている。官僚の目は国民ではなく、安倍総理に向いているのだ。

自衛隊による日報隠蔽事件は制服組、背広組がどう関与していたのか分からないがないが、次から次に明らかになる真実にシビリアンコントロールが働いていない現実を目の当たりにした。

そのシビリアンコントロールの活かせない自衛隊を安倍総理は憲9条改正で自衛隊を明記するというのだ。憲法改正は自民党の党是というが安倍総理自身が憲法をどう理解しているのかは分からない。「GHQによる押しつけられた憲法」しか言えない総理に知識があるとは思えない。

財務大臣を経験していない経歴から、財政再建に対する意識が薄い。口では「財政再建と経済成長」は日本経済再生の両輪と言うが経産省優遇の安倍政権では成長路線第一だ。PBを黒字化し財政再建するには更に毎年40兆円もの歳入増が必要と金融財政審議会が提言した。

取り敢えずは消費税10%への増税をどうするか。アベノミクスが成果を出していない今、税収増は消費税増税しかないが、軽減税率など企業のエゴ丸出しの政策を採用すると消費税増税でも思った増収は無理だろう。

一般会計も97兆円超で決まったが、経済成長を促進するために補正予算を組む。これは即赤字財政だ。補正予算は財政健全化の「逃げ道」になっているが経産省主導の政策では仕方ないこと。最後は国民に重い負担がかかってくる。

日銀の独立性も安倍総理は無視している。アベノミクスの第1の矢を重視する余り黒田総裁再任となったが「異次元の金融政策の失敗の責任はお前だ」と言っているのだ。

出口戦略も「2%物価目標達成が先」と言わんばかりに拘っている。そもそも2%と言う数字は「一番達成可能な数値」と言うことで決まったものでグローバルスタンダードと言われてもいるが先進国中央銀行は「2%に拘らず量的緩和縮小」に向かっている。我が国だけが拘っているのだ。恐らく安倍総理には先進国の何処も達成できなかった目標を達成したという事実だけが必要なのだろう。

今、一番批判を浴びている財務省に次官のセクハラ問題が出て来た。事務次官は当然に「やっていない」と否定したが、内部調査が必要と「セクハラを受けた女性記者は名乗りを上げろ」というのだ。誰がセクハラを受けたと名乗り出すか。そこは保護されなければならないが国家試験もトップクラスで通り、おまけに司法試験にも受かっている福田次官がどうしてこんな調査の仕方を言い出したのか。

何も言わず引責辞任すべき事案ではないか。あるいは官邸としては麻生大臣の引責辞任を避けるための策に出たのか。福田さん辞任、麻生さん辞任では安倍政権は崩壊だ。

更に朝日新聞を毛嫌いする安倍さんは放送法の改正に乗り出した。第4条の「政治的公平」条項の撤廃を提起しているのだ。まだ詳しいことは分からないが官邸寄りの報道をする通信社が必要なのだろう。中国、ロシア、北朝鮮など更にはトランプ大統領のメデイア批判を真似ているのか。

官僚の不祥事多発の要因に内閣人事局の存在があり、600人に及ぶ高級官僚の人事を一手に把握する制度は、官僚の思いのままでなく、そこに政治が関与する制度としては良かったのだろうが安倍政権ではこれを悪用した。

如何に良い制度でも運用次第では悪い制度にもなるし、官僚の意識の劣化の要因、最終的には行政の質の劣化に関係する。根本的な見直しが必要だ。

結局の所、国民が信用していない安倍総理が何故、「他の内閣よりマシ」と評価されるのか。メデイアの世論調査の設問のやり方にも問題があるだろうが、不思議な結果だ。

国民の信頼を落とし、説明責任を要求される安倍総理のママでは地方選、参院選は戦えないとみた自民党の派閥の長や重鎮が「安倍おろし」の動きを見せてきた。自民党には自浄作用がある事をしっかり国民に見せて欲しい。

内閣支持率も20%台の危険水域に入った世論調査も出て来た。こんな総理が外交やっていて良いのか。世界の首脳は安倍総理の不祥事を詳細に知っている。日米首脳会談のトランプ大統領もロシアンゲート事件で検察の取り調べの対象になっていると言う。

崖っぷしに立たされた2人が北に対してどう対応するのか。北だって2人の不祥事は良く研究しているはずだ。「死に体」の安倍総理を真剣に相手にする金委員長ではないが、今回のシリアの攻撃はショックだったのではないか。トランプ大統領は「やるときはやる」と認識したのではないか。



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